根性疼痛モデルラットにおける仙骨硬膜外ブロックの効果

神経根性疼痛の治療法として,硬膜外ブロックは,確立された治療法であるがその作用機序は,未だに不明な点が多い。本研究では,下肢痛の治療に頻用されている仙骨硬膜外ブロックの作用機序の解明を目的とした。 実験では,SDラット33匹を用いて,L4,L5後根神経節圧迫モデルを作製したところ,21匹のモデルラットにおいて下肢の自発痛の存在を示唆する疼痛行動が観察された。これらラットのすべてで,感覚受容器との連続を離断した腓腹神経から自発放電が記録された。さらに単離できた21個の神経での自発放電は,硬膜外腔へのlidocaine 1500μgの投与により,すべてが抑制された。この結果から,神経根性疼痛に対す...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJOURNAL OF THE KYORIN MEDICAL SOCIETY Vol. 40; no. 1; pp. 8 - 15
Main Author 山本, 靖紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 2009
The Kyorin Medical Society
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.40.8

Cover

More Information
Summary:神経根性疼痛の治療法として,硬膜外ブロックは,確立された治療法であるがその作用機序は,未だに不明な点が多い。本研究では,下肢痛の治療に頻用されている仙骨硬膜外ブロックの作用機序の解明を目的とした。 実験では,SDラット33匹を用いて,L4,L5後根神経節圧迫モデルを作製したところ,21匹のモデルラットにおいて下肢の自発痛の存在を示唆する疼痛行動が観察された。これらラットのすべてで,感覚受容器との連続を離断した腓腹神経から自発放電が記録された。さらに単離できた21個の神経での自発放電は,硬膜外腔へのlidocaine 1500μgの投与により,すべてが抑制された。この結果から,神経根性疼痛に対する仙骨硬膜外ブロックの作用は,後根神経節細胞体に由来の発火現象を抑制することにより,疼痛抑制に関与していると考えられた。
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.40.8