健康的な食行動の実践を支援するための栄養プロファイルモデルに関するフォーカス・グループ・インタビュー:食習慣の改善意欲がある者を対象とした検討

【目的】日本において栄養プロファイルモデル(以下,NPモデル)を普及・啓発するため,NPモデルに対する消費者からの情報を整理し,課題を抽出することを目的とした。【方法】年代・性別ごとの6グループ(18~74歳,計36人)において,約2時間のフォーカス・グループ・インタビューを,2021年2月に実施した。参加条件は,加工食品の購入頻度が週2~3回以上であることを必須とし,専門性のある資格を有する者や食習慣改善意欲が低い者は除外した。逐語録に観察記録による参加者の反応を加味し,内容分析法を用いてコーディングとカテゴリー化を行った。【結果】栄養成分表示の印象は,「一食量当たりに換算するのが面倒」「一...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 80; no. 2; pp. 126 - 138
Main Authors 多田, 由紀, 吉﨑, 貴大, 石見, 佳子, 竹林, 純, 岡田, 恵美子, 瀧本, 秀美, 横山, 友里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.04.2022
日本栄養改善学会
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.80.126

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Summary:【目的】日本において栄養プロファイルモデル(以下,NPモデル)を普及・啓発するため,NPモデルに対する消費者からの情報を整理し,課題を抽出することを目的とした。【方法】年代・性別ごとの6グループ(18~74歳,計36人)において,約2時間のフォーカス・グループ・インタビューを,2021年2月に実施した。参加条件は,加工食品の購入頻度が週2~3回以上であることを必須とし,専門性のある資格を有する者や食習慣改善意欲が低い者は除外した。逐語録に観察記録による参加者の反応を加味し,内容分析法を用いてコーディングとカテゴリー化を行った。【結果】栄養成分表示の印象は,「一食量当たりに換算するのが面倒」「一日の摂取量に占める割合や基準がわからない」という意見が多かった。NPモデルを活用した表示は,どの栄養素が閾値を超えているか,色分けと補足説明で明記したパターンが好まれた一方,好きな食品の選択には影響しないが,それ以外の食品で気にするという意見が多かった。【結論】NPモデルが消費者の健康的な食行動の実践を支援するためには,注意喚起が必要な項目を一目でわかりやすく表示する重要性が示唆された。一方,NPモデルに基づく表示は好きな食品の選択には影響しないという意見が多かったことから,食生活全体を視野に入れたNPモデルの活用方法を啓発するための資料を作成する必要があると考えられた。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.80.126