生体肝移植における胆汁漏の現状と対策
成人生体肝移植後の胆汁漏の管理について近年の報告をまとめるとともに,当科で胆汁漏をきたした症例を検討した。胆汁漏の発生頻度は2~25%との報告があり,免疫抑制状態という肝移植特有の要素から迅速な膿瘍および胆管ドレナージが求められる。当科においては1997年から2017年において経験した161例の成人生体肝移植のうち,20例(12%)に胆汁漏を認めた。胆汁および膿瘍培養からはEnterococcus faeciumおよびEnterococcus faecalis,Enterobacter cloacaeといった腸内細菌を始めとするグラム陽性球菌および,グラム陰性桿菌としてPseudomonas...
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Published in | 日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 71 - 76 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外科感染症学会
28.02.2018
Japan Society for Surgical Infection |
Subjects | |
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ISSN | 1349-5755 2434-0103 |
DOI | 10.24679/gekakansen.15.1_71 |
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Summary: | 成人生体肝移植後の胆汁漏の管理について近年の報告をまとめるとともに,当科で胆汁漏をきたした症例を検討した。胆汁漏の発生頻度は2~25%との報告があり,免疫抑制状態という肝移植特有の要素から迅速な膿瘍および胆管ドレナージが求められる。当科においては1997年から2017年において経験した161例の成人生体肝移植のうち,20例(12%)に胆汁漏を認めた。胆汁および膿瘍培養からはEnterococcus faeciumおよびEnterococcus faecalis,Enterobacter cloacaeといった腸内細菌を始めとするグラム陽性球菌および,グラム陰性桿菌としてPseudomonas aeruginosaを高頻度で認めた。MRSE,MRSAも高率に認め,重複感染も大半の症例で認めた。20例中2例を胆汁漏に起因する敗血症により失ったものの,膿瘍ドレナージと胆管ドレナージおよび適切な抗菌薬治療により20例中18例は治癒可能であった。生体肝移植における胆汁漏は時に診断,治療に難渋することもあるが,適切な管理により治療可能な病態である。 |
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ISSN: | 1349-5755 2434-0103 |
DOI: | 10.24679/gekakansen.15.1_71 |