肝切除術における胆汁漏と手術部位感染
肝切除後胆汁漏は難治性に陥ると高い頻度で腹腔内感染を併発するため,その発生リスク,予防法,治療を理解することは感染制御の点でも重要である。中央 2区域,前区域切除などのグリソン鞘の露出を伴う術式はもっとも留意すべき危険因子である。予防法として bile leak testや経胆囊管的胆道ドレナージチューブは総胆管と交通のある胆汁漏に対して有効と考えられている。腹腔ドレーンは胆汁漏高リスク症例では留置すべきだが,胆汁漏や腹腔内感染がなければ早期に抜去すべきである。術後胆汁漏を合併した場合は腹腔内感染を併発しないようにドレナージを完全にすることが初期治療として重要である。そして難治性に陥った場合は...
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Published in | 日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 77 - 84 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外科感染症学会
28.02.2018
Japan Society for Surgical Infection |
Subjects | |
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ISSN | 1349-5755 2434-0103 |
DOI | 10.24679/gekakansen.15.1_77 |
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Summary: | 肝切除後胆汁漏は難治性に陥ると高い頻度で腹腔内感染を併発するため,その発生リスク,予防法,治療を理解することは感染制御の点でも重要である。中央 2区域,前区域切除などのグリソン鞘の露出を伴う術式はもっとも留意すべき危険因子である。予防法として bile leak testや経胆囊管的胆道ドレナージチューブは総胆管と交通のある胆汁漏に対して有効と考えられている。腹腔ドレーンは胆汁漏高リスク症例では留置すべきだが,胆汁漏や腹腔内感染がなければ早期に抜去すべきである。術後胆汁漏を合併した場合は腹腔内感染を併発しないようにドレナージを完全にすることが初期治療として重要である。そして難治性に陥った場合は瘻孔造影や胆道造影で,漏出部位が総胆管と交通があるかを診断し,交通がある場合には内視鏡的経鼻胆道ドレナージなどの胆道減圧が有効である。しかし,交通のない場合にはフィブリン糊やエタノールの胆管内注入などの治療が必要になることがある。 |
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ISSN: | 1349-5755 2434-0103 |
DOI: | 10.24679/gekakansen.15.1_77 |