LC-MS/MSによる尿中バニリルマンデル酸,ホモバニリン酸,メタネフリン,ノルメタネフリンおよびクレアチニンの一斉分析法の検討

神経芽細胞腫は小児に多いがんであり,尿中にはバニリルマンデル酸(vanillylmandelic acid,VMA),ホモバニリン酸(homovanillic acid,HVA)が多く排泄される。スクリーニング検査にはクレアチニン(creatinine,Cr)値で補正した尿中VMA,HVA値が用いられていたが,悪性度の判別が困難であることから現在休止されている。一方,褐色細胞腫の検査にはCr補正した尿中メタネフリン(metanephrine,MN)とノルメタネフリン(normetanephrine,NMN)値を用いる。これら5種を同時に測定することにより,神経芽細胞腫や褐色細胞腫の詳細な検査の...

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Published inJOURNAL OF THE KYORIN MEDICAL SOCIETY Vol. 46; no. 3; pp. 207 - 212
Main Authors 石井, 和夫, 細田, 香織, 柴﨑, 浩美, 横川, 彰朋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 2015
The Kyorin Medical Society
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ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.46.207

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Summary:神経芽細胞腫は小児に多いがんであり,尿中にはバニリルマンデル酸(vanillylmandelic acid,VMA),ホモバニリン酸(homovanillic acid,HVA)が多く排泄される。スクリーニング検査にはクレアチニン(creatinine,Cr)値で補正した尿中VMA,HVA値が用いられていたが,悪性度の判別が困難であることから現在休止されている。一方,褐色細胞腫の検査にはCr補正した尿中メタネフリン(metanephrine,MN)とノルメタネフリン(normetanephrine,NMN)値を用いる。これら5種を同時に測定することにより,神経芽細胞腫や褐色細胞腫の詳細な検査の一助になることが期待される。本研究では,短時間で高感度・高選択的な分析法の開発を目指し,固相抽出法とLC-MS/MSによるこれら5種の一斉分析法について検討した。両イオン交換octa decyl silyl(ODS)カラムに酢酸アンモニウム溶液とメタノールの混液を流してLC分離し,内標準物質は各々の重水素標識化合物を用いた。固相抽出法による尿からの5種類の抽出率は81.3~90.8%であり,良好な値が得られた。本法を健常成人4名の随時尿に応用した結果,MNとNMNの値が基準値よりも低値を示したことから,引き続き測定法の改良が必要である。
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.46.207