小児の再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチーの1例

再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチーは,以前は眼筋麻痺性片頭痛と呼ばれていた疾患である.近年,臨床症状と他の疾患の除外診断による診断だけではなく,造影MRIにて罹患神経の造影効果が明らかにされる例が多数報告されている.今回我々は,8年間にわたって再発を繰り返した再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチーの小児において,造影MRIで長期的に動眼神経を観察できた症例を経験した.症例は4歳,男児.左眼瞼下垂を主訴に受診し,左外上斜視と左眼内転,下転,上転制限がみとめられたが,瞳孔不同はなく対光反射も正常だった.当院小児科にて施行された造影MRIでは,左動眼神経遠位部の腫大と造影効果がみられた.2年前にも同...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神経眼科 Vol. 37; no. 1; pp. 51 - 57
Main Authors 鈴木, 佳代, 白石, 秀明, 新明, 康弘, 佐久間, 愛, 廣岡, 季里子, 石田, 晋, 白枝, 友子, 安藤, 亮, 陳, 進輝, 中村, 佳代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.03.2020
Online AccessGet full text
ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.37.51

Cover

More Information
Summary:再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチーは,以前は眼筋麻痺性片頭痛と呼ばれていた疾患である.近年,臨床症状と他の疾患の除外診断による診断だけではなく,造影MRIにて罹患神経の造影効果が明らかにされる例が多数報告されている.今回我々は,8年間にわたって再発を繰り返した再発性有痛性眼筋麻痺性ニューロパチーの小児において,造影MRIで長期的に動眼神経を観察できた症例を経験した.症例は4歳,男児.左眼瞼下垂を主訴に受診し,左外上斜視と左眼内転,下転,上転制限がみとめられたが,瞳孔不同はなく対光反射も正常だった.当院小児科にて施行された造影MRIでは,左動眼神経遠位部の腫大と造影効果がみられた.2年前にも同様の症状がみられステロイド治療の効果があったことより,ステロイドミニパルスを施行.左眼瞼下垂,眼位,眼球運動ともに改善した.この後,8年間にわたり10回の再発を繰り返したが,造影MRIでは,増強効果の変化はあるものの動眼神経の腫大は消失することなく,継続してみられた.全ての再発時にステロイドの投与によく反応し,神経症状を残すことなく回復している.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.37.51