空腹時高血糖例の糖尿病移行に影響する臨床的因子 ―10年間の追跡調査より

目的・方法:1992年に実施した職域健康診断で,空腹時血糖値が110mg/dl~125mg/dlを呈した空腹時高血糖(impaired fasting glucose:IFG)140例について2002年までの10年間追跡調査し,糖尿病に移行した例(移行例)と糖尿病には至らなかった例(非移行例)の臨床像を比較した.結果:1997年までの5年間追跡できた症例は110例,2002年までの10年間追跡できたのは74例であった.糖尿病に移行した例は最初の5年間で13.6%(15/110:移行率28.2/1,000人年),10年間では17.6%(13/74:移行率21.6/1,000人年)であった.移行例...

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Published in人間ドック Vol. 20; no. 1; pp. 76 - 79
Main Authors 坂本, 浩一, 林, 美里, 土井, 拓哉, 辰田, 仁美, 細, 隆信, 近藤, 渓, 菊岡, 弘芳, 高木, 伴幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2005
日本人間ドック学会
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock2005.20.76

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Summary:目的・方法:1992年に実施した職域健康診断で,空腹時血糖値が110mg/dl~125mg/dlを呈した空腹時高血糖(impaired fasting glucose:IFG)140例について2002年までの10年間追跡調査し,糖尿病に移行した例(移行例)と糖尿病には至らなかった例(非移行例)の臨床像を比較した.結果:1997年までの5年間追跡できた症例は110例,2002年までの10年間追跡できたのは74例であった.糖尿病に移行した例は最初の5年間で13.6%(15/110:移行率28.2/1,000人年),10年間では17.6%(13/74:移行率21.6/1,000人年)であった.移行例は非移行例に比し当初の空腹時血糖値およびbody mass index(BMI)が有意に高かった.また,高血圧合併例も移行例において有意に高頻度であった.糖尿病の家族歴を有する例は最初の5年間ではむしろ少ない傾向を呈したものの,後半の5年間で新たに糖尿病に移行した群においては有意に多かった.結論:以上より,IFGのうち血糖値の高い例や肥満,高血圧を合併した例では将来糖尿病に移行する例が多く,その背景には遺伝的素因よりむしろインスリン抵抗性が強く関与している可能性が示唆された.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock2005.20.76