多量飲酒の習慣がない人間ドック健診受診者における非アルコール性脂肪性肝疾患と腎結石に関する縦断研究

目的:以前に我々は,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と腎結石はともに生活習慣病・メタボリックシンドローム(MetS)と関連があるが,NFALDの方が生活習慣病・MetSとの関連が強いこと,NAFLDと腎結石を合併する場合は動脈硬化がより進行している可能性が高いことを横断研究により示した.今回は後ろ向き縦断的に分析した. 方法:2007年10月~2010年9月(初回受診時)と,その5年後にも腹部超音波検査を行った1,023例のうち,飲酒量20g/日以下の756例を対象とした.初回受診時にNAFLDを認めない530例を,その後NAFLDを発症した群と発症していない群に分け,生活習慣病とMe...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人間ドック Vol. 32; no. 3; pp. 482 - 490
Main Author 伊藤, 美奈子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2017
日本人間ドック学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.32.482

Cover

More Information
Summary:目的:以前に我々は,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と腎結石はともに生活習慣病・メタボリックシンドローム(MetS)と関連があるが,NFALDの方が生活習慣病・MetSとの関連が強いこと,NAFLDと腎結石を合併する場合は動脈硬化がより進行している可能性が高いことを横断研究により示した.今回は後ろ向き縦断的に分析した. 方法:2007年10月~2010年9月(初回受診時)と,その5年後にも腹部超音波検査を行った1,023例のうち,飲酒量20g/日以下の756例を対象とした.初回受診時にNAFLDを認めない530例を,その後NAFLDを発症した群と発症していない群に分け,生活習慣病とMetSにおける変化を比較した.初回受診時に腎結石を有さない702例に関しても同様に解析した.また,NAFLDと腎結石の発症予測因子を分析した.さらに,初回受診時にNAFLDも腎結石も有さない490例について,その後のNAFLDおよび腎結石発症の有無で4群に分類し比較した. 結果:生活習慣病とMetSの保有について,NAFLD発症群の方が非発症群に比べ初回受診時より悪化していたが,腎結石は両群間で有意差はなかった.NAFLD発症の独立した予測因子は肥満,脂質異常症,高尿酸血症薬服用中,運動習慣であった.腎結石の発症因子は明確ではなかったが,NAFLDと腎結石の両方を発症した群では,発症以前から生活習慣病とMetSの保有率が他群に比べ高かった. 結論:生活習慣病とMetSが将来のNAFLDのみならず腎結石発症に関与する可能性が示された.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.32.482