乳腺濃度に着目した超音波併用乳がん検診の検討

目的:高濃度乳腺では,マンモグラフィ(MG)による病変の検出感度が低いため超音波検査(US)の併用により有効な検診が行えることが期待されている.今回,我々は乳腺濃度に着目しUS併用による検診成績について検討した. 方法:2013年1月から2014年12月にMG・US併用検診で総合判定を行った6,603名を対象に,高濃度乳腺群(高濃度・不均一高濃度乳腺)と非高濃度乳腺群(乳腺散在・脂肪性乳腺)の2群に分け,がん発見数(率),要精査数(率),陽性反応的中度について検討した. 結果:対象6,603名のうち高濃度乳腺は3,492名(52.9%),非高濃度乳腺は3,111名(47.1%)であった.高濃度...

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Published in人間ドック Vol. 32; no. 3; pp. 469 - 475
Main Authors 那須, 繁, 橋本, 俊彦, 亀井, 晶子, 森, 寿治, 伊藤, 真子, 舩越, 健彦, 吉村, 理江, 長野, 由美, 谷山, 恵里奈, 宗, 栄治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2017
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.32.469

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Summary:目的:高濃度乳腺では,マンモグラフィ(MG)による病変の検出感度が低いため超音波検査(US)の併用により有効な検診が行えることが期待されている.今回,我々は乳腺濃度に着目しUS併用による検診成績について検討した. 方法:2013年1月から2014年12月にMG・US併用検診で総合判定を行った6,603名を対象に,高濃度乳腺群(高濃度・不均一高濃度乳腺)と非高濃度乳腺群(乳腺散在・脂肪性乳腺)の2群に分け,がん発見数(率),要精査数(率),陽性反応的中度について検討した. 結果:対象6,603名のうち高濃度乳腺は3,492名(52.9%),非高濃度乳腺は3,111名(47.1%)であった.高濃度乳腺ではMG単独検診と仮定した場合のがん発見数(率)は12病変(0.34%)であったが,USを併用すると20病変(0.57%)に増加した.一方,非高濃度乳腺ではMG単独のがん発見数(率)は11病変(0.35%)でUSを併用しても13病変(0.42%)と増加はわずかであった.また,全体の要精査数(率)は,総合判定前は539名(8.2%)であったが,総合判定後は454名(6.9%)に減った.しかし,陽性反応的中度は総合判定後においてもMG単独と比較して低下していた(8.13%→7.27%).これは乳腺濃度別に検討しても同様の結果であった. 結論:特に高濃度乳腺に対してはUSを併用することでがん発見率を上昇させ,より効率的な乳がん検診を提供できる可能性が示唆された.しかしながら,総合判定で不要な精査数をできるだけ減らし,陽性反応的中度を上げることが今後の課題と思われた.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.32.469