アルテプラーゼ投与症例と自験例に関する考察
脳梗塞急性期患者への発症後3時間以内のrt-PA投与を前提とした治療において, 大動脈解離合併症例への投与は避けられるのか. 仮に避けられるようであれば, 大動脈解離合併症例にrt-PAを投与したときの責任は非常に重い. 一般的に, 急性大動脈解離は突然の激烈な胸痛・背部痛で始まり, 解離の進行に伴い痛みが移動することが特徴とされている. また, 四肢の左右もしくは上下の血圧差, 心雑音も一般的な症状である. 本稿では副作用報告症例と自験例をレビューし, 回避するためのサインは何なのかを考察する. 1 副作用報告症例の概略 胸部大動脈解離を合併している症例にrt-PAが使用され, 死亡に至った...
Saved in:
Published in | 脳卒中 Vol. 30; no. 3; pp. 452 - 454 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2008
日本脳卒中学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.30.452 |
Cover
Summary: | 脳梗塞急性期患者への発症後3時間以内のrt-PA投与を前提とした治療において, 大動脈解離合併症例への投与は避けられるのか. 仮に避けられるようであれば, 大動脈解離合併症例にrt-PAを投与したときの責任は非常に重い. 一般的に, 急性大動脈解離は突然の激烈な胸痛・背部痛で始まり, 解離の進行に伴い痛みが移動することが特徴とされている. また, 四肢の左右もしくは上下の血圧差, 心雑音も一般的な症状である. 本稿では副作用報告症例と自験例をレビューし, 回避するためのサインは何なのかを考察する. 1 副作用報告症例の概略 胸部大動脈解離を合併している症例にrt-PAが使用され, 死亡に至った10症例の一覧を示す(表1). rt-PA投与から死亡に至るまでの時間は, 19日後が1例あるが, 9例が3日以内に亡くなり, そのうち5例は投与直後に亡くなっている. 症例7の場合, rt-PA投与開始13分後に血圧が95/52mmHgまで下がり投与を中止したが, 中止2分後には意識障害が出現, ショック状態となった. |
---|---|
ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.30.452 |