人間ドックにおけるメタボリックシンドローム対策にロコモーションチェックおよび立ち上がりテストを追加する必要性

目的:本研究の目的は,メタボリックシンドローム(以下,メタボ)対策の運動療法をより安全に行うために,当院人間ドック受診者に対してロコモーションチェック(以下,ロコチェック)および立ち上がりテストを行い,その実態と対応を検討することである. 方法:2012年3月13日~11月30日に当院人間ドックを受診した男女723名を対象に,ロコチェック,体格・体組成測定,下肢の機能的筋力の検査である立ち上がりテストを実施.対象者をロコチェック陽性群,メタボ群,重複群,健常群に分類し,人数比率,体格・体組成,立ち上がりテストの結果を比較した. 結果:全対象者のうちロコチェック陽性群は20.9%,メタボ群は12...

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Published in人間ドック Vol. 30; no. 1; pp. 52 - 58
Main Authors 宮本, 瑠美, 篠田, 誠, 小西, 由里子, 東, 拓弥, 村永, 信吾, 伊能, 幸雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2015
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.30.52

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Summary:目的:本研究の目的は,メタボリックシンドローム(以下,メタボ)対策の運動療法をより安全に行うために,当院人間ドック受診者に対してロコモーションチェック(以下,ロコチェック)および立ち上がりテストを行い,その実態と対応を検討することである. 方法:2012年3月13日~11月30日に当院人間ドックを受診した男女723名を対象に,ロコチェック,体格・体組成測定,下肢の機能的筋力の検査である立ち上がりテストを実施.対象者をロコチェック陽性群,メタボ群,重複群,健常群に分類し,人数比率,体格・体組成,立ち上がりテストの結果を比較した. 結果:全対象者のうちロコチェック陽性群は20.9%,メタボ群は12.3%,重複群は7.5%,健常群は59.3%であった.立ち上がりテストは,男性において,同年代の健常群と比較して50歳代の重複群および60歳代のロコチェック陽性群で有意に低値であった.また,体格・体組成の指標であるBMI,体脂肪率(以下,% fat),除脂肪体重/身長(以下,LBM/m)については,ロコチェック陽性群と健常群との差は認められなかった. 結論:メタボ該当者のなかにはロコチェックにも重複該当しているものが存在し,それらの下肢の機能的筋力は低値であった.ロコチェック陽性者の検出は,現在の人間ドックで行っている体格・体組成測定では難しい.したがって,運動器の不具合を早期にスクリーニングし,メタボ対策としての運動療法をより安全に行うためには,ロコチェックや下肢の機能的筋力検査を行い,個々の運動機能の程度にあわせた運動処方を行う必要があると考える.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.30.52