吸入ステロイド経鼻呼出療法が鼻腔内常在細菌叢に及ぼす影響についての検討

好酸球性副鼻腔炎 (eosinophilic chronic rhinosinusitis: ECRS) は高率に気管支喘息を合併するため上気道から下気道まで包括的に治療する必要がある. われわれの施設では呼吸器アレルギー専門医と耳鼻咽喉科アレルギー専門医が同時に診察を行う気道アレルギー外来を設立し, 喘息合併 ECRS 症例に対し吸入ステロイド (inhaled corticosteroids: ICS) 経鼻呼出療法を中心とした局所治療を積極的に施行してきた. 炎症局所への治療効果は高いが, 喘息治療と共に長期的な継続が必要となることが多い. ICS が口腔内カンジダ症の発症に影響を与える...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 124; no. 1; pp. 30 - 34
Main Authors 神田, 晃, 村田, 英之, 小林, 良樹, 朝子, 幹也, 岩井, 大, 河内, 理咲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.01.2021
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.124.30

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Summary:好酸球性副鼻腔炎 (eosinophilic chronic rhinosinusitis: ECRS) は高率に気管支喘息を合併するため上気道から下気道まで包括的に治療する必要がある. われわれの施設では呼吸器アレルギー専門医と耳鼻咽喉科アレルギー専門医が同時に診察を行う気道アレルギー外来を設立し, 喘息合併 ECRS 症例に対し吸入ステロイド (inhaled corticosteroids: ICS) 経鼻呼出療法を中心とした局所治療を積極的に施行してきた. 炎症局所への治療効果は高いが, 喘息治療と共に長期的な継続が必要となることが多い. ICS が口腔内カンジダ症の発症に影響を与えることは知られているが, 経鼻呼出療法の継続による鼻腔内常在菌への影響について過去に報告はない. 今回われわれは, ICS 経鼻呼出療法が鼻腔内細菌叢に及ぼす影響について検討した. 2014年1月~2017年12月までの4年間に当院で施行した鼻科手術前の鼻汁細菌検査結果が確認できた症例のうち, ICS 経鼻呼出療法を導入した経鼻呼出群 (n=49), 従来の吸入方法で治療した従来使用群 (n=24), ICS 未使用群 (n=172) の3群間における鼻汁細菌検査結果を比較検討した. 菌検出率に関しては3群間で有意な相違は認めなかった. また, 鼻噴霧ステロイド薬と経口ステロイド薬の併用症例を除いたサブ解析においても同様の結果が得られた. ICS 経鼻呼出療法は, 鼻腔内常在細菌叢に変化をもたらすことなく, 長期にわたって上・下気道の包括的治療に寄与することが期待される.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.124.30