胆管壁内嚢胞の1例

「症例」59歳女性. 2008年12月頃より右季肋部痛出現し前医受診. 胆石を指摘され, 2009年3月に腹腔鏡下胆嚢摘出術施行. 術後に総胆管結石を認めたためESTを行った際, 中部胆管に隆起性病変が疑われ当院紹介となった. 入院時現症および血液生化学検査, 腫瘍マーカーに異常は認めなかった. 腹部US(図1)では, 上部胆管壁内に約4mm大の嚢胞様病変を認めた. また肝臓と腎臓に多発する嚢胞を認めた. ERCP(図2)では, 中部胆管に辺縁明瞭な陰影欠損像と上部胆管に辺縁平滑でなだらかな立ち上がりを示す隆起性病変を認めた. EUS(図3)では, 中部胆管壁内に単房性嚢胞が集簇した約15mm...

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Published inTando Vol. 23; no. 5; pp. 824 - 827
Main Authors 岸本, 有為, 五十嵐, 良典, 在原, 文夫, 岡野, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2009
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.23.824

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Summary:「症例」59歳女性. 2008年12月頃より右季肋部痛出現し前医受診. 胆石を指摘され, 2009年3月に腹腔鏡下胆嚢摘出術施行. 術後に総胆管結石を認めたためESTを行った際, 中部胆管に隆起性病変が疑われ当院紹介となった. 入院時現症および血液生化学検査, 腫瘍マーカーに異常は認めなかった. 腹部US(図1)では, 上部胆管壁内に約4mm大の嚢胞様病変を認めた. また肝臓と腎臓に多発する嚢胞を認めた. ERCP(図2)では, 中部胆管に辺縁明瞭な陰影欠損像と上部胆管に辺縁平滑でなだらかな立ち上がりを示す隆起性病変を認めた. EUS(図3)では, 中部胆管壁内に単房性嚢胞が集簇した約15mm大の隆起性病変と, その末梢側に約5mm大の嚢胞性病変を認めた. 経口胆道鏡(図4)では中部胆管に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め, その末梢側や右胆管根部にも同様の小隆起性病変を散見した. また, 胆汁細胞診はClass Iであった. 以上より多発する胆管壁内嚢胞と診断し, 現在経過観察中である. 胆管壁内嚢胞は稀な疾患であり, その成因は不明とされている.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.23.824