腎移植におけるシクロスポリンのAUC0—4推定法の評価

シクロスポリン(CyA)はタクロリムス, プレドニゾロンとともに, 腎移植における免疫抑制剤として繁用されている薬剤である. 従来, CyAの投与量決定の指標には投与直前の薬物血中濃度を用いていたが, 近年, 腎移植において投与後0-4時間のAUC(AUC0-4)を適切な値にコントロールすることで急性拒絶反応やCyAによる腎障害の発現を減少させると報告され, 1) トラフ値に替わる投与量泱定の指標としてAUC0-4が利用されている. 2, 3) AUC0-4の算出を内服後0-4時間の5ポイントによる台形法を用いて行う場合, 5ポイントの採血は患者にとって精神的, 肉体的に多大な負担であり, 経...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 125; no. 5; pp. 441 - 447
Main Authors 国分, 秀也, 木村, 利美, 吉田, 一成, 矢後, 和夫, 青山, 隆彦, 松本, 宜明, 清水, 万紀子, 福岡, 正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.05.2005
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.125.441

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Summary:シクロスポリン(CyA)はタクロリムス, プレドニゾロンとともに, 腎移植における免疫抑制剤として繁用されている薬剤である. 従来, CyAの投与量決定の指標には投与直前の薬物血中濃度を用いていたが, 近年, 腎移植において投与後0-4時間のAUC(AUC0-4)を適切な値にコントロールすることで急性拒絶反応やCyAによる腎障害の発現を減少させると報告され, 1) トラフ値に替わる投与量泱定の指標としてAUC0-4が利用されている. 2, 3) AUC0-4の算出を内服後0-4時間の5ポイントによる台形法を用いて行う場合, 5ポイントの採血は患者にとって精神的, 肉体的に多大な負担であり, 経済的な面からもより少ない採血ポイントによるAUC0-4の推定法が必要と考えられる. 打田らは1-3ポイントの採血よりAUC0-4を推定する方法として, 腎移植患者において, CyAマイクロエマルジョン製剤服用時のAUC0-4推定式(AUC0-4U)を報告しているが, 採血ポイントが1ポイントの場合, 臨床上, 用量設定を行うには正確性が十分ではなく, 少なくとも2ポイントの採血が投与設計には必要と報告している.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.125.441