総胆管穿破により閉塞性黄疸,胆管炎を呈した膵管内乳頭粘液性腫瘍の1切除例
要旨:症例は77歳男性.右上腹部痛と発熱を認め,近医で閉塞性黄疸,胆管炎を指摘された.CT検査で膵頭部に多房性嚢胞性腫瘤を認め,総胆管との境界壁が一部欠損していた.PTBDを施行すると,粘液の混じった胆汁が排泄された.膵頭部膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal papillary mucinous neoplasm;以下IPMN)の総胆管穿破,これに伴う閉塞性黄疸,胆管炎と診断した.積極的な粘液胆汁ドレナージを行い,黄疸は依然認めたが,胆管炎は改善させた.この後,膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;以下PD)を施行しえた.組織学的に乳頭粘液性腺癌であった...
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Published in | Tando Vol. 25; no. 4; pp. 651 - 657 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
2011
Japan Biliary Association |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0077 1883-6879 |
DOI | 10.11210/tando.25.651 |
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Summary: | 要旨:症例は77歳男性.右上腹部痛と発熱を認め,近医で閉塞性黄疸,胆管炎を指摘された.CT検査で膵頭部に多房性嚢胞性腫瘤を認め,総胆管との境界壁が一部欠損していた.PTBDを施行すると,粘液の混じった胆汁が排泄された.膵頭部膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal papillary mucinous neoplasm;以下IPMN)の総胆管穿破,これに伴う閉塞性黄疸,胆管炎と診断した.積極的な粘液胆汁ドレナージを行い,黄疸は依然認めたが,胆管炎は改善させた.この後,膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;以下PD)を施行しえた.組織学的に乳頭粘液性腺癌であったが,総胆管との瘻孔部には,腫瘍細胞の浸潤は認めなかった.術後は良好に経過し,28カ月再発なく外来通院中である. 今回,我々は総胆管穿破を伴ったIPMNの一根治切除例を経験した.文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0914-0077 1883-6879 |
DOI: | 10.11210/tando.25.651 |