Biliary cystadenomaの1症例
症例は36歳男性.右背部痛を主訴に来院し,腹部超音波検査で肝右葉後区域に5×3cmの領域に限局した多発性嚢胞性病変を発見された.腹部CT上多房性嚢胞の形態をとり, 壁の石灰化はなく, 嚢胞は隔壁形成を伴っていた. 選択的腹腔動脈造影では, 動脈枝の圧排と実質相で嚢胞壁の濃染が見られた.CT-angiographyでは動脈枝の圧排像と嚢胞壁の濃染部はより詳細に観察され, 腫瘍性嚢胞と考えられた, 胆道シンチグラフィで99mTc-N-pyridoxyl 5-methyltryptophan(99mTc-PMT)のわずかな取り込みが後期にみられ,嚢胞が胆道由来の性質を有することが示唆された.以上より...
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Published in | Tando Vol. 2; no. 4; pp. 484 - 489 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
1988
Japan Biliary Association |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0077 1883-6879 |
DOI | 10.11210/tando1987.2.4_484 |
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Summary: | 症例は36歳男性.右背部痛を主訴に来院し,腹部超音波検査で肝右葉後区域に5×3cmの領域に限局した多発性嚢胞性病変を発見された.腹部CT上多房性嚢胞の形態をとり, 壁の石灰化はなく, 嚢胞は隔壁形成を伴っていた. 選択的腹腔動脈造影では, 動脈枝の圧排と実質相で嚢胞壁の濃染が見られた.CT-angiographyでは動脈枝の圧排像と嚢胞壁の濃染部はより詳細に観察され, 腫瘍性嚢胞と考えられた, 胆道シンチグラフィで99mTc-N-pyridoxyl 5-methyltryptophan(99mTc-PMT)のわずかな取り込みが後期にみられ,嚢胞が胆道由来の性質を有することが示唆された.以上よりbiliary cystadenomaを強く疑い,肝右葉後区域の亜区域切除を施行し,組織学的に粘液産生性の高円柱上皮を証明し本症と診断した.本症例の所見はbiliary cystadenomaの各種画像診断法上の特徴を示すものと考えられ,ことに胆道シンチグラフィで陽性所見を示した最初の報告である. |
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ISSN: | 0914-0077 1883-6879 |
DOI: | 10.11210/tando1987.2.4_484 |