肝3区域以上切除例の検討
国立がんセンターで行つた148例の肝切除のうち41例(28%)が3区域以上切除であつた. このうち成人原発性肝癌は22例(うち3例に肝硬変合併), 転移性肝腫瘍11例, 小児肝癌7例, Kasabach-Meritt症候群を伴つた巨大血管腫1例であつた. 直死は4例(9.8%). である. 成人原発性肝癌群3区域切除後の1年生存率54%, 3年28%, 5年20%であり, 同群2区域以下切除例の1年76%, 3年55%, 5年37%と比較し予後は劣つた. 肝3区域以上に進展した肝癌に対する切除は治癒切除たりえないが, 延命効果はある. 2区域以内に留まつた肝癌に何らかの理由で3区域切除を行えば...
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Published in | 医療 Vol. 36; no. 7; pp. 643 - 647 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1982
医療同好会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.36.643 |
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Summary: | 国立がんセンターで行つた148例の肝切除のうち41例(28%)が3区域以上切除であつた. このうち成人原発性肝癌は22例(うち3例に肝硬変合併), 転移性肝腫瘍11例, 小児肝癌7例, Kasabach-Meritt症候群を伴つた巨大血管腫1例であつた. 直死は4例(9.8%). である. 成人原発性肝癌群3区域切除後の1年生存率54%, 3年28%, 5年20%であり, 同群2区域以下切除例の1年76%, 3年55%, 5年37%と比較し予後は劣つた. 肝3区域以上に進展した肝癌に対する切除は治癒切除たりえないが, 延命効果はある. 2区域以内に留まつた肝癌に何らかの理由で3区域切除を行えば, 少なくとも“相対的”治療切除たりえ, 現に7年弱の生存中例がある. 今後肝動脈塞栓術を併用するなど集学的治療を効率的に行うと, 手術適応の拡大, 手術成績・予後の向上が得られるものと期待される. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.36.643 |