成人臍帯血ミニ移植におけるタクロリムスの安全性と有効性の血中濃度に基づいた検討:単一施設における39例の後方視的検討

臍帯血ミニ移植施行後,FK506単剤(10から20ng/ml)による急性GVHD予防を行った39症例を対象にFK506の安全性と有効性を血中濃度に基づき後方視的に検討した.FK506の副作用は,腎障害8例(20.5%),中枢神経障害4例(10.3%),消化管障害2例(5.1%),肝障害2例(5.1%)であった.FK506の血中濃度を合併症発現前10日間の平均血中濃度で解析した結果,腎障害重篤群20.4ng/ml,非発現・軽症群14.8ng/mlと両群に有意差を認めた.FK506の血中濃度が17ng/ml未満の腎障害発現率は6.9%,17ng/ml以上の腎障害発現率は60.0%とFK506血中濃...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 56; no. 3; pp. 359 - 364
Main Authors 林, 昌洋, 奥野, 友理, 田村, 宏美, 内田, 直之, 伊藤, 忠明, 和氣, 敦, 高木, 伸介, 辻, 正徳, 山本, 久史, 松野, 直史, 長谷部, 忍, 宮腰, 重三郎, 古澤, 正子, 牧野, 茂義, 伊能, 佳奈子, 内田, ゆみ子, 谷口, 修一, 那須, いずみ, 森, 有紀, 増岡, 和宏, 箕曲, 真由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2010
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.56.359

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Summary:臍帯血ミニ移植施行後,FK506単剤(10から20ng/ml)による急性GVHD予防を行った39症例を対象にFK506の安全性と有効性を血中濃度に基づき後方視的に検討した.FK506の副作用は,腎障害8例(20.5%),中枢神経障害4例(10.3%),消化管障害2例(5.1%),肝障害2例(5.1%)であった.FK506の血中濃度を合併症発現前10日間の平均血中濃度で解析した結果,腎障害重篤群20.4ng/ml,非発現・軽症群14.8ng/mlと両群に有意差を認めた.FK506の血中濃度が17ng/ml未満の腎障害発現率は6.9%,17ng/ml以上の腎障害発現率は60.0%とFK506血中濃度が17ng/ml以上で有意に腎障害の発現率が上昇すると考えられた. 移植後60日以内の急性GVHDの発症率はGradeII~IVで27.7%であり成人臍帯血ミニ移植に対するFK506単剤使用の有効性が示唆された.FK506有効域の下限を示すことは出来なかったが,FK506の血中濃度が17ng/ml以上の症例では急性GVHDは発症していないことから,FK506の血中濃度と急性GVHD抑制との相関の可能性が示唆された.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.56.359