くも膜下出血で発症し自然消退した頚髄動静脈瘻の1例

くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage : SAH)の原因の一つに稀ながら脊髄動静脈瘻がある.本疾患に対する治療法として血管内治療,外科的治療があるが,保存的治療では再出血の危険が高く予後不良で自然に軽快することは稀である.今回我々はSAHで発症した頚髄動静脈瘻で,自然消退が認められた1例を経験した.症例は67歳女性で突然の頭痛で発症したSAHで入院した.発症25日目に血管撮影で右C1 radiculo-medullary arteryを流入動脈,右C1 radicular veinを流出静脈とし上位頚髄右側に静脈瘤を伴う血管奇形が認められ,脊髄動静脈瘻と診断された.外科...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 31; no. 5; pp. 332 - 336
Main Authors 金森, 政之, 米澤, 慎悟, 西村, 真実, 川口, 泰洋, 西嶌, 美知春, 堀, 恵美子, 西嶌, 春生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2009
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.31.332

Cover

More Information
Summary:くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage : SAH)の原因の一つに稀ながら脊髄動静脈瘻がある.本疾患に対する治療法として血管内治療,外科的治療があるが,保存的治療では再出血の危険が高く予後不良で自然に軽快することは稀である.今回我々はSAHで発症した頚髄動静脈瘻で,自然消退が認められた1例を経験した.症例は67歳女性で突然の頭痛で発症したSAHで入院した.発症25日目に血管撮影で右C1 radiculo-medullary arteryを流入動脈,右C1 radicular veinを流出静脈とし上位頚髄右側に静脈瘤を伴う血管奇形が認められ,脊髄動静脈瘻と診断された.外科的治療,血管内治療を希望せず保存的加療を受けた.厳重な経過観察で発症9カ月目に静脈瘤の消失,発症44カ月目に流入動脈の消失が認められた.頚髄動静脈瘻の自然消失は稀であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.31.332