抗凝固療法中に胆嚢穿孔をきたした重症出血性胆嚢炎の1例

症例は49歳男性.大動脈炎症候群で2回開心術を行いワルファリン内服中.右季肋部痛を認め前医で急性胆嚢炎と診断され,当院を受診.血液検査で炎症反応や肝胆道系酵素の上昇があり,単純CTで胆嚢内に複数の結石と血腫の充満を認め,さらに胆嚢穿孔をきたし腹腔内にも血腫が貯留したと考えられた.入院後に出血性ショックとなり集中治療室の管理下,造影CTで明らかな動脈性出血は認めず,腹部症状の増悪も無いため,全身状態が改善した入院後5日目に手術を施行.術中,胆嚢周囲に膿性血腫と胆嚢体部に穿孔部を認め,胆嚢摘出術を行なった.病理組織学的検査で胆嚢粘膜は脱落,潰瘍を形成,出血していたが,悪性所見は認めず,血腫による胆...

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Published inTando Vol. 28; no. 4; pp. 655 - 659
Main Authors 金, 鏞国, 村上, 昌裕, 清水, 潤三, 長谷川, 順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2014
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.28.655

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Summary:症例は49歳男性.大動脈炎症候群で2回開心術を行いワルファリン内服中.右季肋部痛を認め前医で急性胆嚢炎と診断され,当院を受診.血液検査で炎症反応や肝胆道系酵素の上昇があり,単純CTで胆嚢内に複数の結石と血腫の充満を認め,さらに胆嚢穿孔をきたし腹腔内にも血腫が貯留したと考えられた.入院後に出血性ショックとなり集中治療室の管理下,造影CTで明らかな動脈性出血は認めず,腹部症状の増悪も無いため,全身状態が改善した入院後5日目に手術を施行.術中,胆嚢周囲に膿性血腫と胆嚢体部に穿孔部を認め,胆嚢摘出術を行なった.病理組織学的検査で胆嚢粘膜は脱落,潰瘍を形成,出血していたが,悪性所見は認めず,血腫による胆嚢内圧上昇の結果,穿孔に至ったと考えられた.術後経過は良好で,術後15日目に退院となった.抗凝固療法中の出血性胆嚢炎により穿孔をきたした重症急性胆嚢炎の一救命例を経験したので報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.28.655