肝門部胆管癌術後門脈血栓症をきたした2例の検討―特に門脈分岐角度について

肝門部胆管癌術後の門脈血栓症は致命的な病態に進展する可能性のある重篤な合併症である.その発症には様々な因子の関与が考えられるが,今回門脈の分岐角度がその発生に関与したと考えられた2例の術後門脈血栓症を経験した.Case 1:78歳男性,Bismuth II型の肝門部胆管癌に対して肝右葉切除術を施行した.門脈左枝の分岐角度は18度であった.Case 2:74歳男性,Bismuth IV型の肝門部胆管癌に対して肝右葉切除術を施行した.門脈左枝の分岐角度は95度あった.2005年10月から2014年6月までに当院で肝門部胆管癌に対し肝右肝切除術が施行された9例を対象に門脈左枝の分岐角度を検討したとこ...

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Published inTando Vol. 30; no. 2; pp. 234 - 240
Main Authors 清水, 貞利, 金沢, 景繁, 村田, 哲洋, 栄, 政之, 塚本, 忠司, 田内, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2016
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.30.234

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Summary:肝門部胆管癌術後の門脈血栓症は致命的な病態に進展する可能性のある重篤な合併症である.その発症には様々な因子の関与が考えられるが,今回門脈の分岐角度がその発生に関与したと考えられた2例の術後門脈血栓症を経験した.Case 1:78歳男性,Bismuth II型の肝門部胆管癌に対して肝右葉切除術を施行した.門脈左枝の分岐角度は18度であった.Case 2:74歳男性,Bismuth IV型の肝門部胆管癌に対して肝右葉切除術を施行した.門脈左枝の分岐角度は95度あった.2005年10月から2014年6月までに当院で肝門部胆管癌に対し肝右肝切除術が施行された9例を対象に門脈左枝の分岐角度を検討したところ,術後門脈血栓症を認めた2例は他の7例に比べ門脈分岐角度が鋭角であった.それゆえ門脈左枝の分岐角度が急峻な肝門部胆管癌に対する右側肝切除では,術後門脈血栓症の発症に注意を要すると考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.30.234