21番目のアミノ酸を取り込むための分子機構
「1. セレン」セレンは私たちが生きていく上で微量ながら必須の元素である. また, 昨今の構造プロテオミクス研究におけるタンパク質X線結晶構造解析では, 異常散乱原子としてセレノメチオニンの形で汎用されており, 結晶学者にとってなじみ深い元素である. セレン原子が生体内で働く際は, システイン中の硫黄原子がセレン原子に置き換わったセレノシステインの形で機能する. これは, チオレドキシン還元酵素やグルタチオンペルオキシダーゼなど酸化還元にかかわるタンパク質の活性残基として, セレノシステインが必須だからである. 生体内に存在するタンパク質の中には, 20種類の基本アミノ酸以外にもさまざまに修飾...
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Published in | 生物物理 Vol. 46; no. 2; pp. 102 - 105 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2006
日本生物物理学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.46.102 |
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Summary: | 「1. セレン」セレンは私たちが生きていく上で微量ながら必須の元素である. また, 昨今の構造プロテオミクス研究におけるタンパク質X線結晶構造解析では, 異常散乱原子としてセレノメチオニンの形で汎用されており, 結晶学者にとってなじみ深い元素である. セレン原子が生体内で働く際は, システイン中の硫黄原子がセレン原子に置き換わったセレノシステインの形で機能する. これは, チオレドキシン還元酵素やグルタチオンペルオキシダーゼなど酸化還元にかかわるタンパク質の活性残基として, セレノシステインが必須だからである. 生体内に存在するタンパク質の中には, 20種類の基本アミノ酸以外にもさまざまに修飾されたアミノ酸が存在するが, 特にセレノシステインはゲノム中にコードされているため, しばしば21番目のアミノ酸とよばれる1),2). 「2. リボソーム上におけるセレノシステインの取り込み」正常な翻訳終結反応ではmRNA上にUGAなどの終止コドンが現れると, それに対応してリボソーム上のAサイトにはアミノアシルtRNAではなく, release factor(RF)が取り込まれる. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.46.102 |