副胆嚢管が主膵管に開口した重複胆嚢の1例

先天的胆嚢形態異常の一つである重複胆嚢の副胆嚢管が主膵管に開口する稀な1例を経験した.症例は84歳,男性.右季肋部痛を主訴に当院を受診,血液検査で胆道系酵素の上昇,腹部CTで胆嚢腫大および周囲脂肪織濃度の上昇を認め胆嚢炎と診断した.MRCPおよびERCPにて重複胆嚢と診断,IDUSで副胆嚢の胆嚢管の主膵管への合流が疑われた.胆嚢炎を来した重複胆嚢に対して開腹胆嚢摘出術を施行した.術中胆道造影にて副胆嚢管の主膵管への開口が描出された.術前画像検索で不明瞭であった胆道解剖は,術中胆道造影にて明らかとなり安全に手術が施行可能であった.本症例は,BoydenやGrossによる重複胆嚢の分類に合致せず極...

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Published inTando Vol. 30; no. 1; pp. 112 - 118
Main Authors 塩崎, 滋弘, 荒木, 宏之, 平尾, 謙, 小川, 恒由, 松川, 啓義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2016
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.30.112

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Summary:先天的胆嚢形態異常の一つである重複胆嚢の副胆嚢管が主膵管に開口する稀な1例を経験した.症例は84歳,男性.右季肋部痛を主訴に当院を受診,血液検査で胆道系酵素の上昇,腹部CTで胆嚢腫大および周囲脂肪織濃度の上昇を認め胆嚢炎と診断した.MRCPおよびERCPにて重複胆嚢と診断,IDUSで副胆嚢の胆嚢管の主膵管への合流が疑われた.胆嚢炎を来した重複胆嚢に対して開腹胆嚢摘出術を施行した.術中胆道造影にて副胆嚢管の主膵管への開口が描出された.術前画像検索で不明瞭であった胆道解剖は,術中胆道造影にて明らかとなり安全に手術が施行可能であった.本症例は,BoydenやGrossによる重複胆嚢の分類に合致せず極めて稀であり,形態異常の発生学的考察を加えて報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.30.112