有病者における安心・安全な薬物療法 ─糖尿病患者
「1. 糖尿病の診療」糖尿病の歴史は, 今から約3500年前に書かれたと推定されているエベルス・パピルスから始まり, そこには多尿を呈する疾患の記録が残されている. 糖尿病とは, インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群で, その典型的な症状は, 口渇, 多飲, 多尿, 体重減少などであり, 三大合併症として, 糖尿病神経障害, 糖尿病網膜症, 糖尿病腎症が知られている. 治療目標は, 高血糖に起因する代謝異常を改善することに加え, 糖尿病に特徴的な併発症, および糖尿病に起こりやすい併発症の発症, 増悪を防ぎ, 健康人と変わらない生活の質(quality of life...
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| Published in | ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY Vol. 39; no. 3; pp. 193 - 197 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本歯科薬物療法学会
2020
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY |
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| ISSN | 0288-1012 1884-4928 |
| DOI | 10.11263/jsotp.21.19 |
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| Summary: | 「1. 糖尿病の診療」糖尿病の歴史は, 今から約3500年前に書かれたと推定されているエベルス・パピルスから始まり, そこには多尿を呈する疾患の記録が残されている. 糖尿病とは, インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群で, その典型的な症状は, 口渇, 多飲, 多尿, 体重減少などであり, 三大合併症として, 糖尿病神経障害, 糖尿病網膜症, 糖尿病腎症が知られている. 治療目標は, 高血糖に起因する代謝異常を改善することに加え, 糖尿病に特徴的な併発症, および糖尿病に起こりやすい併発症の発症, 増悪を防ぎ, 健康人と変わらない生活の質(quality of life:QOL)を保ち, 健康人と変わらない寿命を全うすることにあるとされ, 血糖コントロール目標が「糖尿病診療ガイドライン2019」において設定されている. 成人(高齢者, 妊婦は除く)における血糖コントロール目標として, 血糖正常化を目指す際の目標(適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合, または薬物療法中でも低血糖などの副作用はなく達成可能な場合の目標)はHbA1c値6.0%未満,合併症予防のための目標はHbA1c値7.0%未満(対応する血糖値としては, 空腹時血糖値130mg/dL未満, 食後2時間血糖値180mg/dL未満がおおよその目安), 治療強化が困難な際の目標(低血糖などの副作用, その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標)はHbA1c値8.0%未満とされている. |
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| ISSN: | 0288-1012 1884-4928 |
| DOI: | 10.11263/jsotp.21.19 |