膵液分泌障害による新たな慢性膵炎モデルの開発

慢性膵炎の治療法の開発や病態の解明のために,適切な慢性膵炎モデルの開発が望まれている.我々は新たな慢性膵炎モデルの作製を試みた.まず膵管内の粘稠度を上昇させて膵液の流出を障害する目的で0.01% agaroseとそれ自体では軽度の膵傷害作用しか示さない0.1%タウロコール酸を混合して,胆膵管十二指腸開口部から膵管内に投与した(40μl/100g体重).この実験モデルでは4週間後も膵臓に線維化と炎症細胞浸潤が持続していた.次にラットの胆膵管十二指腸開口部にカニューレを挿入し,そのカニューレの遠位端を膵液の分泌を妨げないように挙上させて膵管内圧を亢進させた.この実験モデルでは2週間後には著しい小葉...

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Published in膵臓 Vol. 23; no. 1; pp. 36 - 41
Main Authors 大槻, 眞, 山口, 泰三, 山本, 光勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2008
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.23.36

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Summary:慢性膵炎の治療法の開発や病態の解明のために,適切な慢性膵炎モデルの開発が望まれている.我々は新たな慢性膵炎モデルの作製を試みた.まず膵管内の粘稠度を上昇させて膵液の流出を障害する目的で0.01% agaroseとそれ自体では軽度の膵傷害作用しか示さない0.1%タウロコール酸を混合して,胆膵管十二指腸開口部から膵管内に投与した(40μl/100g体重).この実験モデルでは4週間後も膵臓に線維化と炎症細胞浸潤が持続していた.次にラットの胆膵管十二指腸開口部にカニューレを挿入し,そのカニューレの遠位端を膵液の分泌を妨げないように挙上させて膵管内圧を亢進させた.この実験モデルでは2週間後には著しい小葉間の線維化と炎症細胞浸潤及び腺房細胞の萎縮を認めた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.23.36