急性胆嚢炎後の経過観察中に診断された胆嚢癌の1例

78歳男性.発熱と腹痛を主訴に受診し,急性胆嚢炎と診断された.保存的治療にて軽快しないためPTGBDを施行したところ速やかに軽快した.結石がはっきりせず胆嚢管の閉塞機転は不明であったこともあり,手術を勧めたが本人が拒否したため外来にて注意深く経過をみた.発症6カ月後の腹部エコー・CTにて胆囊壁肥厚が持続し一部に隆起性病変が明瞭となった.腫瘍マーカーであるCA19-9が持続的に上昇していることから胆嚢癌と考え強く手術を勧めたが手術拒否が続いていた.急性胆嚢炎発症1年後にようやく手術に同意したので胆嚢癌根治術として肝床切除術・リンパ節郭清術を施行した.肉眼所見は結節浸潤型であり,病理組織学的にはt...

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Published inTando Vol. 28; no. 5; pp. 827 - 832
Main Authors 小野山, 裕彦, 山田, 勇, 味木, 徹夫, 井上, 稔也, 山口, 哲哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2014
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.28.827

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Summary:78歳男性.発熱と腹痛を主訴に受診し,急性胆嚢炎と診断された.保存的治療にて軽快しないためPTGBDを施行したところ速やかに軽快した.結石がはっきりせず胆嚢管の閉塞機転は不明であったこともあり,手術を勧めたが本人が拒否したため外来にて注意深く経過をみた.発症6カ月後の腹部エコー・CTにて胆囊壁肥厚が持続し一部に隆起性病変が明瞭となった.腫瘍マーカーであるCA19-9が持続的に上昇していることから胆嚢癌と考え強く手術を勧めたが手術拒否が続いていた.急性胆嚢炎発症1年後にようやく手術に同意したので胆嚢癌根治術として肝床切除術・リンパ節郭清術を施行した.肉眼所見は結節浸潤型であり,病理組織学的にはtub1,pHinf2,pN1 stage IVaと診断された.術後ゲムシタビンによる化学療法を行ったが術後3カ月で肝転移,リンパ節転移が出現し術後10カ月で原病死した.急性胆嚢炎の非手術的治療後の経過観察で胆嚢癌と診断された興味ある症例と思われたので報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.28.827