内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージが診断に有用であった特発性胆嚢穿孔の1例

74歳女性,夕食後の右上腹部痛を主訴に受診.血清膵酵素の上昇を認め,急性膵炎の疑いで入院.造影CTでは膵炎および胆嚢・胆管内の結石を示唆する所見なく,モリソン窩に液体貯留を認めた.腹腔穿刺では胆汁性腹水を認めなかったが,胆汁性腹膜炎を否定できずendoscopic nasobiliary drainage(ENBD)を施行.ENBD後に著明な全身状態の改善を認めたため,胆嚢穿孔の有無を含めた原因精査目的にendoscopic nasogallbladder drainage(ENGBD)を施行し,胆嚢穿孔を確認することが可能であった.特発性胆嚢穿孔の術前診断で開腹下胆嚢摘出術が施行され,病理組...

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Published inTando Vol. 29; no. 5; pp. 913 - 917
Main Authors 北川, 翔, 岡村, 圭也, 宮川, 宏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2015
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.29.913

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Summary:74歳女性,夕食後の右上腹部痛を主訴に受診.血清膵酵素の上昇を認め,急性膵炎の疑いで入院.造影CTでは膵炎および胆嚢・胆管内の結石を示唆する所見なく,モリソン窩に液体貯留を認めた.腹腔穿刺では胆汁性腹水を認めなかったが,胆汁性腹膜炎を否定できずendoscopic nasobiliary drainage(ENBD)を施行.ENBD後に著明な全身状態の改善を認めたため,胆嚢穿孔の有無を含めた原因精査目的にendoscopic nasogallbladder drainage(ENGBD)を施行し,胆嚢穿孔を確認することが可能であった.特発性胆嚢穿孔の術前診断で開腹下胆嚢摘出術が施行され,病理組織学的検索では穿孔部に軽度の炎症所見を認めるのみで虚血性変化を疑わせるような所見を認めなかった.ENGBDにて穿孔を確認し得た特発性胆嚢穿孔例は,本邦初であり貴重な症例と思われ報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.29.913