Dumonステントにて気道の確保に成功し得た喀血の1例

背景.気道狭窄を伴わない喀血に対するステント治療の報告は極めて少ない.症例.70歳,男性.2007年に原発性右上葉肺腺癌に対し上葉S2区域切除を施行.2013年に同一肺葉内転移再発とリンパ節再発を指摘,脳転移に対する放射線照射治療中に喀血を生じた.胸部CTで右残存上葉の大部分を占める腫瘍を認めたが,上葉支内腔への露出はなかった.気管支動脈塞栓術を行うも喀血は減少せず,4日後に凝血塊により右主気管支が完全閉塞した.気道内出血制御を目的としたステント留置の適応と判断し,硬性気管支鏡下に気管分岐部から中間気管支幹にDumonストレートステントを留置した.第4病日にステントの中枢側への逸脱を生じたため...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 38; no. 2; pp. 125 - 129
Main Authors 和田, 崇志, 宮澤, 秀樹, 伊藤, 祥隆, 新納, 英樹, 川向, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2016
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.38.2_125

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Summary:背景.気道狭窄を伴わない喀血に対するステント治療の報告は極めて少ない.症例.70歳,男性.2007年に原発性右上葉肺腺癌に対し上葉S2区域切除を施行.2013年に同一肺葉内転移再発とリンパ節再発を指摘,脳転移に対する放射線照射治療中に喀血を生じた.胸部CTで右残存上葉の大部分を占める腫瘍を認めたが,上葉支内腔への露出はなかった.気管支動脈塞栓術を行うも喀血は減少せず,4日後に凝血塊により右主気管支が完全閉塞した.気道内出血制御を目的としたステント留置の適応と判断し,硬性気管支鏡下に気管分岐部から中間気管支幹にDumonストレートステントを留置した.第4病日にステントの中枢側への逸脱を生じたため,ストレートステントを前回同様に再留置し,逸脱予防目的にDumon Yステントの右脚をストレートステント内に挿入して留置した.術後経過は良好で血痰は術後直ちに消失し,第3病日に退院とした.結語.狭窄を伴わない喀血に対してもDumonステントは有用と考える.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.38.2_125