気管支鏡を用いた区域洗浄が非洗浄領域にも有効であった自己免疫性肺胞蛋白症の1例

背景.肺胞蛋白症は,肺サーファクタントの生成や分解過程の障害により生じ,標準治療として,全身麻酔下に全肺洗浄が行われる.症例.47歳,男性.労作時呼吸困難と咳嗽を主訴に近医を受診した.労作時呼吸困難と胸部CTですりガラス陰影を伴う小葉間隔壁の肥厚(crazy paving appearance)が認められ,気管支鏡検査で白濁した気管支肺胞洗浄液が得られ,経気管支肺生検で肺胞領域にPAS陽性の無細胞性好酸性物質の充満所見が認められたため,肺胞蛋白症と診断された.治療目的に当科紹介となり,左B5a,右B5aの区域洗浄を二期的に施行した.洗浄後2カ月の胸部CTでは,洗浄部位に加えて両側下葉の非洗浄領...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 38; no. 4; pp. 291 - 295
Main Authors 矢寺, 和博, 山﨑, 啓, 川波, 敏則, 白石, 朝子, 石本, 裕士, 迎, 寛, 畑, 亮輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2016
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.38.4_291

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Summary:背景.肺胞蛋白症は,肺サーファクタントの生成や分解過程の障害により生じ,標準治療として,全身麻酔下に全肺洗浄が行われる.症例.47歳,男性.労作時呼吸困難と咳嗽を主訴に近医を受診した.労作時呼吸困難と胸部CTですりガラス陰影を伴う小葉間隔壁の肥厚(crazy paving appearance)が認められ,気管支鏡検査で白濁した気管支肺胞洗浄液が得られ,経気管支肺生検で肺胞領域にPAS陽性の無細胞性好酸性物質の充満所見が認められたため,肺胞蛋白症と診断された.治療目的に当科紹介となり,左B5a,右B5aの区域洗浄を二期的に施行した.洗浄後2カ月の胸部CTでは,洗浄部位に加えて両側下葉の非洗浄領域にも陰影の改善を認めた.結論.区域洗浄は,肺胞蛋白症の治療選択肢の1つであるが,自己免疫性肺胞蛋白症に対する区域洗浄後に,経過から自然軽快と考えにくい非洗浄領域の改善を認めた1例を経験した.今後のさらなる症例の集積および詳細な病態生理学的検討が期待される.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.38.4_291