総胆管結石に併存した無黄疸平坦浸潤型胆管癌の1例

症例は80歳代,男性.2年前に胆管炎を発症し当院に入院した.ERCPを施行し胆管腔内超音波検査(Intraductal ultrasonography,以下IDUS)にて総胆管結石を認め内視鏡的治療を行った.この際,IDUSにて胆管壁肥厚を認めたが炎症性の肥厚と考え経過観察となった.2年後,再度胆管炎を発症し2回目の入院となった.胆管造影にて結石や腫瘤は明らかでなかったが,IDUSにて5mm大の結石と最大7mm厚のびまん性の胆管壁肥厚病変を認め,胆管生検にて胆管癌と診断された.膵頭十二指腸切除+肝外胆管切除にて深達度はfmであったが肝内胆管まで進展した平坦浸潤型胆管癌であり根治切除とならなかっ...

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Published inTando Vol. 29; no. 5; pp. 962 - 971
Main Authors 高野, 弘嗣, 谷山, 清己, 倉岡, 和矢, 山口, 厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2015
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.29.962

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Summary:症例は80歳代,男性.2年前に胆管炎を発症し当院に入院した.ERCPを施行し胆管腔内超音波検査(Intraductal ultrasonography,以下IDUS)にて総胆管結石を認め内視鏡的治療を行った.この際,IDUSにて胆管壁肥厚を認めたが炎症性の肥厚と考え経過観察となった.2年後,再度胆管炎を発症し2回目の入院となった.胆管造影にて結石や腫瘤は明らかでなかったが,IDUSにて5mm大の結石と最大7mm厚のびまん性の胆管壁肥厚病変を認め,胆管生検にて胆管癌と診断された.膵頭十二指腸切除+肝外胆管切除にて深達度はfmであったが肝内胆管まで進展した平坦浸潤型胆管癌であり根治切除とならなかった.総胆管結石治療時には,結石治療のみでなく胆管癌の合併も念頭においてIDUSを施行することが重要であり,異常を疑う場合には積極的に生検を行うことが必要と考える.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.29.962