気管支鏡検査にて診断し,自然軽快した気管支放線菌症の1例

背景.胸部型の放線菌症は比較的稀な疾患であり,診断に苦慮することが多い.そして,長期の抗菌薬治療が必要といわれる疾患である.今回我々は気管支鏡にて診断し,その後抗菌薬治療をすることなく寛解の得られた気管支放線菌症を経験したので報告する.症例.77歳,男性.発熱と咳嗽を主訴に来院し,肺炎と診断された.抗菌薬治療中に撮影された胸部CTにて,右S7に腫瘤を認めた.肺癌を疑い,気管支鏡検査を施行した.右B7気管支入口部には痰による粘液栓を認め,除去すると気管支内にポリープ様の粘膜肥厚を認めた.同部位より生検を行い病理検査で放線菌症と診断された.診断後は無治療にて自覚症状,画像所見とも改善し,1年以上増...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 40; no. 1; pp. 16 - 20
Main Authors 西村, 好史, 近藤, 圭一, 荒木, 佑亮, 平本, 博文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2018
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.40.1_16

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Summary:背景.胸部型の放線菌症は比較的稀な疾患であり,診断に苦慮することが多い.そして,長期の抗菌薬治療が必要といわれる疾患である.今回我々は気管支鏡にて診断し,その後抗菌薬治療をすることなく寛解の得られた気管支放線菌症を経験したので報告する.症例.77歳,男性.発熱と咳嗽を主訴に来院し,肺炎と診断された.抗菌薬治療中に撮影された胸部CTにて,右S7に腫瘤を認めた.肺癌を疑い,気管支鏡検査を施行した.右B7気管支入口部には痰による粘液栓を認め,除去すると気管支内にポリープ様の粘膜肥厚を認めた.同部位より生検を行い病理検査で放線菌症と診断された.診断後は無治療にて自覚症状,画像所見とも改善し,1年以上増悪なく経過している.結論.気管支放線菌症が自然軽快した1例を経験した.気管支鏡による粘液栓の除去が軽快に寄与した可能性がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.40.1_16