胆管プラスチックステント留置が原因と考えられた仮性肝動脈瘤胆管穿破の1例

症例は63歳男性.胆管結石に対して内視鏡的結石除去術と両端Pigtail型胆管プラスチックステントの留置を行い,5日後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.その5日後に急激な心窩部痛が出現した.腹部造影CT検査では,非造影相で胆管内に出血を示唆する高吸収物質の貯留を認め,胆道出血と考えられた.動脈相ではステント先端近傍の右肝動脈に径8mmの動脈瘤が形成され,総肝管内腔に突出していた.造影CT検査後に出血性ショックから心肺停止となったが,蘇生後に血管造影とコイルによる動脈塞栓術を施行し止血を得た.血中肝胆道系酵素が上昇したため,第32病日に経口胆道鏡検査を施行すると,総肝管内に露出したコイルと胆管結石...

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Published inTando Vol. 32; no. 4; pp. 768 - 774
Main Authors 安井, 伸, 三方, 林太郎, 杉山, 晴俊, 大和, 睦実, 大山, 広, 熊谷, 純一郎, 飯野, 陽太郎, 露口, 利夫, 高橋, 幸治, 酒井, 裕司, 中村, 昌人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.10.2018
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.32.768

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Summary:症例は63歳男性.胆管結石に対して内視鏡的結石除去術と両端Pigtail型胆管プラスチックステントの留置を行い,5日後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.その5日後に急激な心窩部痛が出現した.腹部造影CT検査では,非造影相で胆管内に出血を示唆する高吸収物質の貯留を認め,胆道出血と考えられた.動脈相ではステント先端近傍の右肝動脈に径8mmの動脈瘤が形成され,総肝管内腔に突出していた.造影CT検査後に出血性ショックから心肺停止となったが,蘇生後に血管造影とコイルによる動脈塞栓術を施行し止血を得た.血中肝胆道系酵素が上昇したため,第32病日に経口胆道鏡検査を施行すると,総肝管内に露出したコイルと胆管結石を認めた.結石除去後に血中肝胆道系酵素は改善傾向となり,再出血も認めず,第96病日に退院した.肝動脈瘤は胆管プラスチックステントの先端近傍に形成されており,ステントが肝動脈瘤形成の原因と考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.32.768