胆管穿孔をきたした先天性胆道拡張症に対して,腹腔鏡下に一期的根治術を施行した1例

症例は1歳9か月女児,嘔吐と発熱を主訴に前医受診,先天性胆道拡張症の診断で入院となった.入院6日目に胆道穿孔が明らかになり当科に転院し,緊急手術を行った.手術では総胆管と胆囊管合流部に約2 cm大の穿孔部を認めた.胆道ドレナージや穿孔部の修復は極めて困難であり,腹腔鏡下に一期的根治術を施行した.また,肝門部の左右胆管に強い膜様狭窄を認め胆管形成も施行した.合併症なく経過し,術後10日目に軽快退院となった.胆道穿孔をきたした先天性胆道拡張症に対する治療は二期的手術が推奨されている.一方,近年は一期的根治術が有用であるという報告が散見されるが,ほとんどは開腹手術である.今回,我々は腹腔鏡下に一期的...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 5; pp. 855 - 859
Main Authors 安井, 昭洋, 石井, 宏樹, 内田, 広夫, 牧田, 智, 住田, 亙, 滝本, 愛太朗, 田井中, 貴久, 城田, 千代栄, 横田, 一樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2021
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.57.5_855

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Summary:症例は1歳9か月女児,嘔吐と発熱を主訴に前医受診,先天性胆道拡張症の診断で入院となった.入院6日目に胆道穿孔が明らかになり当科に転院し,緊急手術を行った.手術では総胆管と胆囊管合流部に約2 cm大の穿孔部を認めた.胆道ドレナージや穿孔部の修復は極めて困難であり,腹腔鏡下に一期的根治術を施行した.また,肝門部の左右胆管に強い膜様狭窄を認め胆管形成も施行した.合併症なく経過し,術後10日目に軽快退院となった.胆道穿孔をきたした先天性胆道拡張症に対する治療は二期的手術が推奨されている.一方,近年は一期的根治術が有用であるという報告が散見されるが,ほとんどは開腹手術である.今回,我々は腹腔鏡下に一期的根治術を施行した1例を経験した.胆道穿孔症例でも,腹腔鏡下胆道拡張症手術に習熟した施設において,全身状態が良好な症例であれば腹腔鏡下での一期的手術は有用であると考える.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.5_855