正常肛門を有する直腸膣前庭瘻に対し会陰体形成による修復術を施行した3例

正常肛門を有する直腸膣前庭瘻(以下本症)の手術は再発が多いことが問題である.我々は本症に対し会陰体形成による修復術(以下本法)を小児3例に行った.手術は砕石位で会陰部皮膚に横切開を加え深部へ剥離し会陰体に到達,瘻孔を摘出後,会陰体から左右側方に続く結合組織塊である会陰体外側延長部を同定し,これを左右から正中に牽引して深部から層々に縫合閉鎖して会陰体を再形成した.3例中2例で生後1か月時に陰唇腫脹の既往があり,瘻孔は前庭部に開口を認めた.1例は10歳頃に膣からガスが出ることを自覚,12歳時に膣から便がもれるようになり,術中前庭部左から歯状線頭側の直腸に走行する瘻孔を確認した.食事は前日夕まで可,...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 4; pp. 759 - 764
Main Authors 坂井, 幸子, 清水, 智治, 河合, 由紀, 加藤, 久尚, 嶋村, 藍, 谷, 眞至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2021
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.57.4_759

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Summary:正常肛門を有する直腸膣前庭瘻(以下本症)の手術は再発が多いことが問題である.我々は本症に対し会陰体形成による修復術(以下本法)を小児3例に行った.手術は砕石位で会陰部皮膚に横切開を加え深部へ剥離し会陰体に到達,瘻孔を摘出後,会陰体から左右側方に続く結合組織塊である会陰体外側延長部を同定し,これを左右から正中に牽引して深部から層々に縫合閉鎖して会陰体を再形成した.3例中2例で生後1か月時に陰唇腫脹の既往があり,瘻孔は前庭部に開口を認めた.1例は10歳頃に膣からガスが出ることを自覚,12歳時に膣から便がもれるようになり,術中前庭部左から歯状線頭側の直腸に走行する瘻孔を確認した.食事は前日夕まで可,術翌日より経口摂取を開始とし,全例で再発や感染,排便障害なく経過良好である.本法は瘻孔が明確でない症例や再発後の症例に対しても施行でき,周術期管理も簡便で再発が少なく,本症に対して有効な術式と考える.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.4_759