肝芽腫の転移・原発巣に対する,ICG 蛍光法を用いたナビゲーション手術

【目的】肝芽腫の転移・原発巣手術中に,病変を発見する方法としてICG 蛍光法(以下本法)を利用したナビゲーション手術を行った.その有用性を検討し,報告する. 【方法】7 例を対象とした.内訳は多発肺転移に対する開胸肺部分切除術1 例,縦隔リンパ節転移に対する開胸リンパ節摘出術1 例,肝原発・再発巣に対する肝切除術4 例,肝再発巣に対する肝移植術1 例.全例に手術24 時間前にICG 0.5 mg/kg を静注した.病変部に集積し,赤外線により励起されたICG から放射された蛍光をPhotodynamic Eye(PDE)® で撮影し,切除範囲の決定などに利用した. 【結果】肺転移では合計8 個...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 206 - 210
Main Authors 浅野, 史雄, 武, 浩志, 宮城, 久之, 臼井, 秀仁, 野澤, 久美子, 田中, 祐吉, 北河, 徳彦, 田中, 水緒, 新開, 真人, 望月, 響子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.04.2014
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.50.2_206

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Summary:【目的】肝芽腫の転移・原発巣手術中に,病変を発見する方法としてICG 蛍光法(以下本法)を利用したナビゲーション手術を行った.その有用性を検討し,報告する. 【方法】7 例を対象とした.内訳は多発肺転移に対する開胸肺部分切除術1 例,縦隔リンパ節転移に対する開胸リンパ節摘出術1 例,肝原発・再発巣に対する肝切除術4 例,肝再発巣に対する肝移植術1 例.全例に手術24 時間前にICG 0.5 mg/kg を静注した.病変部に集積し,赤外線により励起されたICG から放射された蛍光をPhotodynamic Eye(PDE)® で撮影し,切除範囲の決定などに利用した. 【結果】肺転移では合計8 個の病巣を本法により同定,摘出した.最小の病巣は非触知の直径0.4 mm であった.縦隔リンパ節転移では,集簇したリンパ節群から転移した病巣を本法により1 個同定,摘出した.肝原発巣では肝表面に露出している腫瘍は蛍光を発したが,深部の病変は描出されなかった.肝切離面では,残肝に残存した腫瘍がないことを本法で確認し,摘出後の組織学的検査で断端部に腫瘍は認めなかった.胆囊,肝外胆管は良く描出され,ICG を非放射性の造影剤として胆汁漏の有無の判定に用い,術後胆汁漏は認めなかった. 【結論】本法は,肺転移巣やリンパ節転移巣の手術においては病変の発見に極めて有用であり,肝原発巣の手術においては切離面の決定,残存病変の有無の判定,胆汁漏の判定に有用である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.50.2_206