全身麻酔薬と周術期管理:microRNAを介した機序

「はじめに」全身麻酔下の外科手術は世界的に増加傾向である. 麻酔の目的は鎮静, 鎮痛, 無動, 有害反射の抑制により, 手術にて発生する侵襲から身体を守り, 安全な手術を提供することにある. 全身麻酔薬はその使用経験, 臨床研究の結果に基づき使用されているが, 作用機序は明らかになっていない. 全身麻酔で使用される薬剤は, セボフルラン, デスフルラン, イソフルランなどの吸入麻酔薬, プロポフォールやミダゾラムといった静脈麻酔薬, 麻薬性鎮痛薬, 筋弛緩薬などが挙げられる. これら薬剤は麻酔作用を示すのみではなく, 虚血再灌流障害や炎症に対する臓器保護効果, 癌細胞に対する抗腫瘍効果あるいは...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 17; no. 2; pp. 72 - 80
Main Author 石川, 真士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 27.04.2021
Online AccessGet full text
ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.17.72

Cover

More Information
Summary:「はじめに」全身麻酔下の外科手術は世界的に増加傾向である. 麻酔の目的は鎮静, 鎮痛, 無動, 有害反射の抑制により, 手術にて発生する侵襲から身体を守り, 安全な手術を提供することにある. 全身麻酔薬はその使用経験, 臨床研究の結果に基づき使用されているが, 作用機序は明らかになっていない. 全身麻酔で使用される薬剤は, セボフルラン, デスフルラン, イソフルランなどの吸入麻酔薬, プロポフォールやミダゾラムといった静脈麻酔薬, 麻薬性鎮痛薬, 筋弛緩薬などが挙げられる. これら薬剤は麻酔作用を示すのみではなく, 虚血再灌流障害や炎症に対する臓器保護効果, 癌細胞に対する抗腫瘍効果あるいは腫瘍促進効果と様々な臓器, 疾患に対しても作用する. しかし, 分子生物学的検討が行われることは少なく, その機序は不明な点が多い. 麻酔薬が疾患に与える影響, 疾患の遺伝学的な特徴を明らかにすることは, 各疾患に合わせた治療効果の高い周術期管理につながる.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.17.72