Soundcell Method (SCM) による高齢者の認知機能評価の可能性

Soundcellは「音楽の意味の単位」と定義される短い音楽フレーズ (楽句) であり, その時間長は最大でも一呼吸程度である。Soundcell Method (SCM) は, 楽曲を複数個のSoundcellに分解し, そのSoundcellから元の楽曲を正しく再構成する方法である。本研究は, SCMを電子的に具現化した機器システムを開発し, これを使ったSCM課題実験を手がかりに, 従来の認知機能検査との関連を明らかにし, SCMによる認知機能評価の可能性を追究することを目的とした。実験では文部省唱歌「故郷」を使用し, 高齢者18名を対象にSCM課題を実施した。また, 従来の認知機能検査...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 715 - 725
Main Authors 三田, 勝己, 鈴本, 宜之, 佐々木, ゆき, 花井, 望佐子, 早川, 富博, 宮治, 眞, 佐野, 芳彦, 轟木, 孝浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.01.2014
日本農村医学会
Subjects
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.62.715

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Summary:Soundcellは「音楽の意味の単位」と定義される短い音楽フレーズ (楽句) であり, その時間長は最大でも一呼吸程度である。Soundcell Method (SCM) は, 楽曲を複数個のSoundcellに分解し, そのSoundcellから元の楽曲を正しく再構成する方法である。本研究は, SCMを電子的に具現化した機器システムを開発し, これを使ったSCM課題実験を手がかりに, 従来の認知機能検査との関連を明らかにし, SCMによる認知機能評価の可能性を追究することを目的とした。実験では文部省唱歌「故郷」を使用し, 高齢者18名を対象にSCM課題を実施した。また, 従来の認知機能検査 (MMSE, かなひろいテスト, TMT-A, TMT-B) を行ない, SCMの結果と比較した。その結果, 何れの認知機能検査の成績もSCM達成群と未達成群との間で有意な差を示した。SCM達成群において, SCMの指標であるアクト数および平均アクト時間は, MMSEの成績と強い相関を示し, さらに, MMSE下位項目の【注意と計算】および【想起】との間に強い相関を認めた。これらの結果から, SCMは, 短期記憶/作動記憶や近時記憶を反映しており, 軽度認知障害やアルツハイマー病を早期に発見する補助的手段として活用できる可能性が示唆された。また, SCMは精神的負担が少なく, 日常的に簡便に繰り返し実施できる参加型の検査・観察法として期待された。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.62.715