人工関節置換術後における遠位型深部静脈血栓症の検討

「背景」急性肺血栓塞栓症(以下, APTE)は欧米では多いが, 本邦発症は少ないとされていた. しかし, 生活様式の欧米化, 高齢者の増加, 疾患に対する認識の向上に伴い増加している傾向である. 特に整形外科手術の下肢人工関節置換術はリスクとされ, 術後の致死性の肺血栓塞栓症(以下, PE)は予防・回避されるべき合併症といえる. 近位型深部静脈血栓症(以下, DVT)は症候性でかつPEを合併することが多く, 治療はAPTEに準ずるとされている. しかし, 下肢人工関節置換術後のDVTはその多くが遠位型DVTであり無症候性である. 本邦では2008年に日本整形外科学会より静脈血栓塞栓症予防ガイド...

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Published in日本関節病学会誌 Vol. 36; no. 4; pp. 447 - 451
Main Authors 福武, 勝典, 青木, 秀之, 宍倉, 亘, 中村, 卓司, 櫻井, 達郎, 斉藤, 敬, 土谷, 一晃, 武内, 重太, 鈴木, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2017
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ISSN1883-2873
1884-9067
DOI10.11551/jsjd.36.447

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Summary:「背景」急性肺血栓塞栓症(以下, APTE)は欧米では多いが, 本邦発症は少ないとされていた. しかし, 生活様式の欧米化, 高齢者の増加, 疾患に対する認識の向上に伴い増加している傾向である. 特に整形外科手術の下肢人工関節置換術はリスクとされ, 術後の致死性の肺血栓塞栓症(以下, PE)は予防・回避されるべき合併症といえる. 近位型深部静脈血栓症(以下, DVT)は症候性でかつPEを合併することが多く, 治療はAPTEに準ずるとされている. しかし, 下肢人工関節置換術後のDVTはその多くが遠位型DVTであり無症候性である. 本邦では2008年に日本整形外科学会より静脈血栓塞栓症予防ガイドラインが発行されているが, 術後発症の静脈血栓塞栓症(以下, VTE)に対して積極的なスクリーニングを励行している. 2009年改訂の肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイドラインではVTEに対する治療は抗凝固療法・血栓溶解療法などが適応とされている.
ISSN:1883-2873
1884-9067
DOI:10.11551/jsjd.36.447