個々の細胞の画像から遺伝子発現状態を推定する
「1. はじめに」多細胞生物の成り立ちを理解するために, 一つ一つの細胞の特徴を解析することは重要である. そのアプローチの一つとして, 個々の細胞内のRNAの種類と数を計数できる1細胞RNA sequencing(RNA-seq)が近年発展してきた. RNA-seqでは, 遺伝子網羅的な解析(トランスクリプトーム解析)からデータ駆動的に特徴を見出し, 細胞の種類や状態を規定することができる. しかしながら, 1細胞RNA-seqでは基本的に計測対象の細胞を破砕する必要があるので, 経時的な計測は難しい. 一方で, 1細胞の経時的な計測ができる手法として顕微鏡イメージングが挙げられる. 生きた...
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Published in | 生物物理 Vol. 64; no. 1; pp. 35 - 37 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2024
日本生物物理学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.64.35 |
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Summary: | 「1. はじめに」多細胞生物の成り立ちを理解するために, 一つ一つの細胞の特徴を解析することは重要である. そのアプローチの一つとして, 個々の細胞内のRNAの種類と数を計数できる1細胞RNA sequencing(RNA-seq)が近年発展してきた. RNA-seqでは, 遺伝子網羅的な解析(トランスクリプトーム解析)からデータ駆動的に特徴を見出し, 細胞の種類や状態を規定することができる. しかしながら, 1細胞RNA-seqでは基本的に計測対象の細胞を破砕する必要があるので, 経時的な計測は難しい. 一方で, 1細胞の経時的な計測ができる手法として顕微鏡イメージングが挙げられる. 生きたままの細胞を継続的に観察できるため, 細胞の動的な特徴を捉えることができる. しかし, RNA-seqのように遺伝子網羅的なデータの取得はできない. 例えば, 蛍光タンパク質を用いて遺伝子発現を観察する場合, 波長により区別できる蛍光タンパク質の種類に制限があるからである. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.64.35 |