腱縫合時の術中自動運動を可能とする低濃度腕神経叢ブロック法

「はじめに」腱移植術や腱移行術などの腱の再建術を, 局所麻酔のみを使用するいわゆるwide-awake surgeryで行い, 術中に自動運動を行うことで腱縫合の緊張を調節する方法が近年いくつか報告されている. しかし関節リウマチ(RA)や変形性関節症(OA)の患者の腱皮下断裂では, Sauve-Kapandji法による手関節形成術などの骨や関節に対する手術を, その後の腱断裂予防のために腱の再建術と同時に行う場合が多い. このような場合においては局所麻酔, 区域麻酔, Bier blockなどの方法では, 骨関節の深部までの麻酔効果が得られないこと, 効果時間が短いことなどにより術中自動運動...

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Published in日本関節病学会誌 Vol. 36; no. 4; pp. 475 - 480
Main Authors 門野, 夕峰, 河野, 慎次郎, 織田, 弘美, 関口, 浩五郎, 大村, 泰人, 吉岡, 浩之, 川邊, 保隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2017
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ISSN1883-2873
1884-9067
DOI10.11551/jsjd.36.475

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Summary:「はじめに」腱移植術や腱移行術などの腱の再建術を, 局所麻酔のみを使用するいわゆるwide-awake surgeryで行い, 術中に自動運動を行うことで腱縫合の緊張を調節する方法が近年いくつか報告されている. しかし関節リウマチ(RA)や変形性関節症(OA)の患者の腱皮下断裂では, Sauve-Kapandji法による手関節形成術などの骨や関節に対する手術を, その後の腱断裂予防のために腱の再建術と同時に行う場合が多い. このような場合においては局所麻酔, 区域麻酔, Bier blockなどの方法では, 骨関節の深部までの麻酔効果が得られないこと, 効果時間が短いことなどにより術中自動運動を行うことは困難である. われわれはこのような症例に対し, 運動神経は保たれたまま感覚神経のみを遮断することで腱縫合時の術中自動運動が可能になる, 低濃度の麻酔薬による鎖骨上腕神経叢ブロック法(low concentration brachial plexus block, 以下LCBB)を考案し行っている.
ISSN:1883-2873
1884-9067
DOI:10.11551/jsjd.36.475