腸回転異常症を伴った内ヘルニアの1例

症例は9か月男児.生後3か月より嘔吐を主訴に入退院を繰り返した.初回の入院時に十二指腸造影検査を行うために経鼻経腸栄養用チューブの挿入を行ったが,その際にチューブの走行に異常を指摘できず,腸回転異常症は否定的と判断した.しかし4回目の入院時に施行した下部消化管造影検査で腸回転異常症を疑う所見を認め手術を施行した.手術所見では腸回転異常症に内ヘルニアを合併していた.内ヘルニアは回腸末端付近にできた小腸間膜裂孔ヘルニアと,それに近接した腸間膜が非薄化してヘルニア囊を形成したものの,2箇所の内ヘルニアが併存していた.腸間膜裂孔がヘルニア門となり十二指腸にあたる小腸が嵌入し,あたかも十二指腸水平脚を形...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 7; pp. 1057 - 1061
Main Authors 三瀬, 直子, 佐永田, 友季子, 松浦, 玄, 原田, 和明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.12.2021
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.57.7_1057

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Summary:症例は9か月男児.生後3か月より嘔吐を主訴に入退院を繰り返した.初回の入院時に十二指腸造影検査を行うために経鼻経腸栄養用チューブの挿入を行ったが,その際にチューブの走行に異常を指摘できず,腸回転異常症は否定的と判断した.しかし4回目の入院時に施行した下部消化管造影検査で腸回転異常症を疑う所見を認め手術を施行した.手術所見では腸回転異常症に内ヘルニアを合併していた.内ヘルニアは回腸末端付近にできた小腸間膜裂孔ヘルニアと,それに近接した腸間膜が非薄化してヘルニア囊を形成したものの,2箇所の内ヘルニアが併存していた.腸間膜裂孔がヘルニア門となり十二指腸にあたる小腸が嵌入し,あたかも十二指腸水平脚を形成しているかのような走行であったことから,上部消化管造影検査で腸管の走行に異常を指摘できなかった.繰り返す嘔吐を認める場合には,内ヘルニアを念頭に画像精査を行うことが重要である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.7_1057