膝前十字靭帯に海綿状血管腫を生じた1例
症例:35歳男性.運動中誘因なく,左膝痛が出現し,他院にて半月板損傷の診断で保存加療を受けるも改善がないため,当院を受診した.初診時,左膝には膝伸展時痛を認めるも,腫脹,関節水腫,圧痛は認めなかった.可動域は10~140°であり,Anterior Drawer test,Lachman test,McMurray testはいずれも陰性であった.MRIでは,膝前十字靭帯(ACL)に小指頭大のT1強調画像で低輝度,T2*強調画像で高輝度を呈する腫瘤様陰影を認め,ACLガングリオンの疑いとなった.関節鏡視下手術を実施し,ACL後外側線維束に毛細血管拡張を伴う12×8mm弾性軟の腫瘍様の膨隆を認めた...
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| Published in | Japanese Journal of Joint Diseases Vol. 42; no. 4; pp. 357 - 359 |
|---|---|
| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本関節病学会
2023
Japanese Society for Joint Diseases |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1883-2873 1884-9067 |
| DOI | 10.11551/jsjd.42.357 |
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| Summary: | 症例:35歳男性.運動中誘因なく,左膝痛が出現し,他院にて半月板損傷の診断で保存加療を受けるも改善がないため,当院を受診した.初診時,左膝には膝伸展時痛を認めるも,腫脹,関節水腫,圧痛は認めなかった.可動域は10~140°であり,Anterior Drawer test,Lachman test,McMurray testはいずれも陰性であった.MRIでは,膝前十字靭帯(ACL)に小指頭大のT1強調画像で低輝度,T2*強調画像で高輝度を呈する腫瘤様陰影を認め,ACLガングリオンの疑いとなった.関節鏡視下手術を実施し,ACL後外側線維束に毛細血管拡張を伴う12×8mm弾性軟の腫瘍様の膨隆を認めた.膨隆部を切除し,病理へ提出し,ACL内海綿状血管腫の診断となった.術後6か月以上経過をしているが,症状は消失し,靱帯不安定性も診られていない.考察:血管腫は良性軟部腫瘍の7%と稀であり,我々が渉猟しえた範囲ではACL発生例は国内外で4例のみであった.全例関節鏡視下に切除し,いずれも再発例はなく予後は良好である.本症例では後外側線維束の一部も切除しており,今後ACL機能の低下や断裂のリスクと再発の両面に注意しつつ,経過を見ていく必要があると思われる. |
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| ISSN: | 1883-2873 1884-9067 |
| DOI: | 10.11551/jsjd.42.357 |