力学-生化学シグナルの時空間パターン形成と集団遊走
「1. 集団遊走における細胞の役割分担」 細胞間で強固に接着する上皮細胞は組織に傷ができると, 接着を維持したまま集団で移動して傷を埋める. この集団細胞遊走では, 傷口に接した細胞が先導細胞と呼ばれるリーダーの役割を果たし, 後続の細胞を牽引する. また, 先導細胞は葉状仮足と呼ばれる扇形の膜突起を形成して高い運動能を持つ. しかし, 集団遊走の過程で先導細胞が傷口に接した領域で特異的に生じる機構は未解明であった(課題1). 後続細胞は先導細胞の運動方向を感知して追従する. この過程で, 細胞外シグナル調節キナーゼ(Extracellular signal-regulated kinase;...
Saved in:
Published in | 生物物理 Vol. 64; no. 2; pp. 85 - 88 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2024
日本生物物理学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.64.85 |
Cover
Summary: | 「1. 集団遊走における細胞の役割分担」 細胞間で強固に接着する上皮細胞は組織に傷ができると, 接着を維持したまま集団で移動して傷を埋める. この集団細胞遊走では, 傷口に接した細胞が先導細胞と呼ばれるリーダーの役割を果たし, 後続の細胞を牽引する. また, 先導細胞は葉状仮足と呼ばれる扇形の膜突起を形成して高い運動能を持つ. しかし, 集団遊走の過程で先導細胞が傷口に接した領域で特異的に生じる機構は未解明であった(課題1). 後続細胞は先導細胞の運動方向を感知して追従する. この過程で, 細胞外シグナル調節キナーゼ(Extracellular signal-regulated kinase; ERK)の活性が上皮増殖因子受容体(Epidermal growth factor receptor; EGFR)依存的に先導から後続細胞へと繰り返し伝播し, 後続細胞の運動方向を制御する. 一方で, 後続細胞の運動制御には物理的・機械的力も重要な役割を担う. |
---|---|
ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.64.85 |