ケロイドの病態と治療

「はじめに」ケロイドは, 皮膚の損傷を契機に生じる良性の線維増殖性病変である. 病理組織学的には, 結合織の増殖による赤色あるいは赤紫から褐色の隆起であり, コラーゲンの過剰な蓄積を認め, コラーゲン線維の束(collagen bundle)が特徴的な所見とされている. ケロイドは, 元の損傷範囲を超えてその周囲の正常皮膚へと拡大し, 長年にわたって成長し続け, 自然に退行することはまれである. さらに, 整容的な問題に加えて, 痒みや痛みを伴い, 重度の場合は感染を繰り返すこともあり, 患者にとって大きな負担となる. 手術単独治療では再発率が高く, 再発を放置すれば手術前よりも悪化してしまう...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 16; no. 1; pp. 8 - 17
Main Authors 土佐, 眞美子, 小川, 令
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.02.2020
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.16.8

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Summary:「はじめに」ケロイドは, 皮膚の損傷を契機に生じる良性の線維増殖性病変である. 病理組織学的には, 結合織の増殖による赤色あるいは赤紫から褐色の隆起であり, コラーゲンの過剰な蓄積を認め, コラーゲン線維の束(collagen bundle)が特徴的な所見とされている. ケロイドは, 元の損傷範囲を超えてその周囲の正常皮膚へと拡大し, 長年にわたって成長し続け, 自然に退行することはまれである. さらに, 整容的な問題に加えて, 痒みや痛みを伴い, 重度の場合は感染を繰り返すこともあり, 患者にとって大きな負担となる. 手術単独治療では再発率が高く, 再発を放置すれば手術前よりも悪化してしまう. 現在までに, ケロイド発生の原因は特定されていないが, いくつかの関連因子が報告されている.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.16.8