非吸収性スペーサー摘出後の再発病変に対し吸収性スペーサーを留置した小児仙骨部悪性腫瘍の1例
2016年より小児がんに対する陽子線治療が保険診療となり,2019年には粒子線治療を目的としたスペーサー留置術が保険収載された.現在承認されているスペーサーはポリグリコール酸(PGA)を原料としたシート型の吸収性材料であるが,これが開発される以前は非吸収性医療材料をスペーサーとして用いることが多かった.この過渡期において,非吸収性と吸収性の異なる2種類のスペーサーを留置した症例を経験した.症例は11歳の男児.仙骨部悪性腫瘍に対する陽子線治療のため,延伸ポリテトラフルオロエチレン製シートを用いてスペーサー留置術を施行した.この非吸収性スペーサーは照射終了後に摘出されたが,その後に腫瘍の再発をきた...
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| Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 58; no. 6; pp. 902 - 906 |
|---|---|
| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.10.2022
日本小児外科学会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
| DOI | 10.11164/jjsps.58.6_902 |
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| Summary: | 2016年より小児がんに対する陽子線治療が保険診療となり,2019年には粒子線治療を目的としたスペーサー留置術が保険収載された.現在承認されているスペーサーはポリグリコール酸(PGA)を原料としたシート型の吸収性材料であるが,これが開発される以前は非吸収性医療材料をスペーサーとして用いることが多かった.この過渡期において,非吸収性と吸収性の異なる2種類のスペーサーを留置した症例を経験した.症例は11歳の男児.仙骨部悪性腫瘍に対する陽子線治療のため,延伸ポリテトラフルオロエチレン製シートを用いてスペーサー留置術を施行した.この非吸収性スペーサーは照射終了後に摘出されたが,その後に腫瘍の再発をきたした.再発時には吸収性PGAスペーサーが使用可能であったため,これを用いてスペーサー留置を行った.PGAスペーサーは体内で吸収されるため照射終了後に摘出する必要がなく,優れた医療材料であると思われた. |
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| ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
| DOI: | 10.11164/jjsps.58.6_902 |