食嗜好の変化の認識と客観的要因の比較検討 ─前期高齢者における検討
適切な食行動が生活習慣病の予防や治療において効果的な取り組みであることは良く知られている.しかしながら,食行動と強く関連する食嗜好と口腔機能の関係については味覚を除いて十分に解明されてはいない.そこで,本研究では,「食嗜好の変化(食べ物の好みの変化)」の有無とその関連要因について検討することを目的とした. 島根県邑南町で実施した平成29年度特定健診および歯科健康調査の参加者656名のうち,前期高齢者484名(男性 44.2%, 女性 55.8%)を分析対象とした. その結果「食嗜好の変化」ありと回答した者は129名(26.7%)であった.また,「食嗜好の変化」の有無を目的変数としたロジスティッ...
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| Published in | 口腔衛生学会雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 136 - 143 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
2020
日本口腔衛生学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
| DOI | 10.5834/jdh.70.3_136 |
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| Summary: | 適切な食行動が生活習慣病の予防や治療において効果的な取り組みであることは良く知られている.しかしながら,食行動と強く関連する食嗜好と口腔機能の関係については味覚を除いて十分に解明されてはいない.そこで,本研究では,「食嗜好の変化(食べ物の好みの変化)」の有無とその関連要因について検討することを目的とした. 島根県邑南町で実施した平成29年度特定健診および歯科健康調査の参加者656名のうち,前期高齢者484名(男性 44.2%, 女性 55.8%)を分析対象とした. その結果「食嗜好の変化」ありと回答した者は129名(26.7%)であった.また,「食嗜好の変化」の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析モデルに,各群を順次強制投入したときの擬似決定係数の変化から「食嗜好の変化」に対する影響力を評価した結果,疾病・健康群(31.9%)が最も影響力が大きく,続いて歯科関連群(28.1%),咀嚼関連群(21.1%),食事関連群(17.2%),基本属性群(1.7%)であった.対象者の主観に基づく食嗜好の変化に影響した「きっかけ」に関する質問では,加齢と回答した割合が最も高かった. 以上より,地域の前期高齢者において,歯科関連群,咀嚼関連群,食事関連群などの歯科に関係する要因群が疾病・健康群に次いで食嗜好を説明する要因として影響力を有していると考えられた. |
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| ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
| DOI: | 10.5834/jdh.70.3_136 |