エストロゲン受容体α遺伝子の5′-非翻訳領域の構造と発現制御
「1. 緒言」女性ホルモンであるエストロゲンは, 女性生殖器官の分化・発育・維持に関与するのみでなく, 男性生殖器官・非生殖器官など幅広い臓器に作用する. さらに, エストロゲンは乳がんや子宮内膜がんなどの女性ホルモン感受性腫瘍のホルモン依存的増殖を引き起こす. エストロゲンは, 核内受容体であるエストロゲン受容体(estrogen receptor, ER)と結合し, その作用を発揮する. ERはリガンド依存的転写調節因子であり, エストロゲンとの結合により, 標的遺伝子の転写を制御する. ERには, 別々の遺伝子上にコードされた2種類の核内受容体, すなわちα型エストロゲン受容体(estr...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 14; no. 4; pp. 157 - 164 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
15.10.2018
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ISSN | 1349-8975 1880-2877 |
DOI | 10.1272/manms.14.157 |
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Summary: | 「1. 緒言」女性ホルモンであるエストロゲンは, 女性生殖器官の分化・発育・維持に関与するのみでなく, 男性生殖器官・非生殖器官など幅広い臓器に作用する. さらに, エストロゲンは乳がんや子宮内膜がんなどの女性ホルモン感受性腫瘍のホルモン依存的増殖を引き起こす. エストロゲンは, 核内受容体であるエストロゲン受容体(estrogen receptor, ER)と結合し, その作用を発揮する. ERはリガンド依存的転写調節因子であり, エストロゲンとの結合により, 標的遺伝子の転写を制御する. ERには, 別々の遺伝子上にコードされた2種類の核内受容体, すなわちα型エストロゲン受容体(estrogen receptor α, ERα; Gene symbol: ESR1)とβ型エストロゲン受容体(estrogen receptor β, ERβ; ESR2)が存在する. 双方とも幅広い臓器で発現を示すが, ERαは, 子宮, 卵巣, 精巣, 精巣上体や乳がん, 子宮内膜がんで高い発現を示し, ERβは, 卵巣, 前立腺, 免疫組織で発現が高いことが知られている. |
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ISSN: | 1349-8975 1880-2877 |
DOI: | 10.1272/manms.14.157 |