両側乳癌手術症例の臨床および病理組織学的検討
近年乳癌手術症例の増加に伴い両側乳癌症例を経験する機会が増えてきた.そこで今回1990年1月から2005年12月までの16年間に当院で経験した両側乳癌症例について片側乳癌との比較を交え検討を行った.対象期間中に当院で手術を行った全乳癌618例中,転移を除く両側乳癌は14例であった.両側乳癌症例のうち同時性9例,異時性5例であった.発症年齢の平均は同時性56歳7ヵ月,異時性第1癌61歳0ヵ月,第2癌70歳4ヵ月であった.異時性の場合,発症間隔は9年7ヵ月±3年8ヵ月であった.病理組織は第1癌,第2癌ともに硬癌が多く,左右での病理組織が一致したものは14例中2例と少なかった.ホルモンレセプター(E...
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Published in | 山口医学 Vol. 57; no. 6; pp. 197 - 202 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0513-1731 1880-4462 |
DOI | 10.2342/ymj.57.197 |
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Summary: | 近年乳癌手術症例の増加に伴い両側乳癌症例を経験する機会が増えてきた.そこで今回1990年1月から2005年12月までの16年間に当院で経験した両側乳癌症例について片側乳癌との比較を交え検討を行った.対象期間中に当院で手術を行った全乳癌618例中,転移を除く両側乳癌は14例であった.両側乳癌症例のうち同時性9例,異時性5例であった.発症年齢の平均は同時性56歳7ヵ月,異時性第1癌61歳0ヵ月,第2癌70歳4ヵ月であった.異時性の場合,発症間隔は9年7ヵ月±3年8ヵ月であった.病理組織は第1癌,第2癌ともに硬癌が多く,左右での病理組織が一致したものは14例中2例と少なかった.ホルモンレセプター(ER/PgR)の左右での発現状況と乳癌発生の仕方(同時性・異時性)について検討したところ,乳癌発生の仕方とホルモンレセプターの左右での一致に相関関係はなかった.同時性・異時性の間で生存率を比較したところ有意差はなかった.乳房はpaired organであるため,常に両側発生の可能性を念頭におきながら診療を行っていくことが重要である. |
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ISSN: | 0513-1731 1880-4462 |
DOI: | 10.2342/ymj.57.197 |