携帯電話を用いた服薬支援に関する研究
背景: 近年の薬剤は高用量化する傾向にある. 新たに服薬を始める患者にとって, 例えば週一回の服用は間隔が長く飲み忘れる可能性があるが, こういった服薬継続支援への取り組みは少ない.目的: 本研究では, 携帯電話のeメール (以下メール) 機能を利用し, 服薬の前日と当日に服薬通知メールを送信するシステム (携帯お知らせシステム) を開発し, その有用性を検討する.対象および方法: 本研究では, システム稼動の信頼性, 登録手順の標準化, 継続的な運用の信頼性, メール着信の認知度に対する検証を行った.結果: 被験者7名の検証において, AU, NTTドコモ, ソフトバンクの各社の携帯電話全て...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 55; no. 3; pp. 309 - 318 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
2009
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0022-6769 2188-2134 |
DOI | 10.14789/pjmj.55.309 |
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Summary: | 背景: 近年の薬剤は高用量化する傾向にある. 新たに服薬を始める患者にとって, 例えば週一回の服用は間隔が長く飲み忘れる可能性があるが, こういった服薬継続支援への取り組みは少ない.目的: 本研究では, 携帯電話のeメール (以下メール) 機能を利用し, 服薬の前日と当日に服薬通知メールを送信するシステム (携帯お知らせシステム) を開発し, その有用性を検討する.対象および方法: 本研究では, システム稼動の信頼性, 登録手順の標準化, 継続的な運用の信頼性, メール着信の認知度に対する検証を行った.結果: 被験者7名の検証において, AU, NTTドコモ, ソフトバンクの各社の携帯電話全てにおいて登録完了を確認できた.登録作業が問題なく行えたのは被験者 (病院事務) 16名中10名 (62.5%) だった.被験者 (看護師) 38名中, 35名 (92.1%) が4週間全てメールを受信でき, 着信設定時刻から1時間以内に31名 (81.5%) が受信を確認していた. 着信後内容まで見なかったと回答した被験者は17名 (44.7%) で, その理由は服薬のメールと認識していたためと回答した.考察: 定期的にメールが着信するという事象自体が, 学習効果により服薬習慣化に結びつく要因となっている. 一方で, 継続的にメール本文が読まれるために文章量や内容にさらに検討が必要であることがわかった.結語: 今後は実際に週1回製剤の服用を開始する新規患者に対し, 携帯お知らせシステムを利用する群とそうでない群で比較検討できるようシステムの改良を行う予定である. また, 服薬支援に限らず, 医療情報を伝えるコミュニケーションツールとして応用できるよう検討を重ねたい. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.55.309 |