キーボードでの単語入力課題が同側一次運動野の皮質内抑制機能に及ぼす影響
本研究では手指運動課題が持つ目的の明確性の違いが同側一次運動野 (M1) 内の短潜時および長潜時皮質内抑制 (SICI, LICI) に及ぼす影響について検討した。10名の右利き健常被験者が右示指で机上でのタッピング, 机上に投影されたレーザーキーボードへの実単語または疑似単語の入力を行った。安静時および運動課題時に運動肢と同側M1への単発および2連発経頭蓋磁気刺激 (TMS) を行い, 左第一背側骨間筋より運動誘発電位 (MEP) を記録した。2連発TMSの刺激間隔は3 ms, 100 msとし, SICI, LICIをそれぞれ評価した。安静時, 疑似単語入力課題と比較し, 実単語入力課題遂...
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Published in | 臨床神経生理学 Vol. 43; no. 2; pp. 70 - 78 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
2015
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-7101 2188-031X |
DOI | 10.11422/jscn.43.70 |
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Summary: | 本研究では手指運動課題が持つ目的の明確性の違いが同側一次運動野 (M1) 内の短潜時および長潜時皮質内抑制 (SICI, LICI) に及ぼす影響について検討した。10名の右利き健常被験者が右示指で机上でのタッピング, 机上に投影されたレーザーキーボードへの実単語または疑似単語の入力を行った。安静時および運動課題時に運動肢と同側M1への単発および2連発経頭蓋磁気刺激 (TMS) を行い, 左第一背側骨間筋より運動誘発電位 (MEP) を記録した。2連発TMSの刺激間隔は3 ms, 100 msとし, SICI, LICIをそれぞれ評価した。安静時, 疑似単語入力課題と比較し, 実単語入力課題遂行時にLICIが有意に減弱した。単発TMSによるMEP振幅およびSICIは条件間の差が認められなかった。本結果は, 実在する単語を想起し入力する目的の明確性が高い動作時には, 運動肢と同側M1におけるLICIの機能は減弱することが示唆された。 |
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ISSN: | 1345-7101 2188-031X |
DOI: | 10.11422/jscn.43.70 |